2026年、AIの自動化に着手する — APIとツールで始める実装入門

矢野 哲平

目次

こんにちは、AIニュースアプリ Morning AI 開発者の矢野哲平です。この記事では、AIの自動化について触れます。「AI自動化について詳しく知りたい」というリクエストをいただいたので、改めてまとめてみました。

この記事を読むことで、AIを自動化するとはどういうことなのか、具体的に何をすればいいのかを深掘りしていきます。

解説するポイントは次の3つです。

  1. そもそもAIの自動化とは何か
  2. AI自動化をするために具体的に何をすればいいのか
  3. AI自動化はどんなシーンで役立つのか

「AI自動化は聞いたことはあるけれど、まだやったことがない」「まさに今取り組もうとしている」という方は、ぜひ読んでみてください。

AI自動化とは

AI自動化とは、そのままですが、AIを自動で動かすことです。

普段、私たちはChatGPTやGeminiをチャット画面から手動で操作しています。「このテキストを要約して」「〇〇って何ですか、詳しく説明して」といった具合です。この使い方自体に問題はないのですが、人間がボトルネックになるという側面があります。AIを動かすには、必ず人間がセットになる必要があるわけです。

では、このボトルネックである人間を介さずにAIを動かすにはどうするか。それがAI自動化です。

たとえば、メールの処理をChatGPTでやっているとします。誰かからメールを受信したら、その内容をコピペしてChatGPTに渡し、返信文の下書きを作ってもらう。これを自動化すると、メールを受信した時点で自動的にChatGPTが内容を読み、返信文の下書きを作ってくれます。人間は内容をチェックして送信ボタンを押すだけです。

1日に受信するメールが4〜5件なら、自動化のうまみはあまりないかもしれません。でも1日に50件、100件処理する人なら、自動化のメリットがはっきり出てきます。こうした「一つひとつのボリュームは小さいけれど、自動化すると助かる」というタスクは、身の回りに意外とたくさんあります。それらを自動化していくことが、業務効率化につながります。

AI自動化を始める

では、具体的にどう始めるのか。ここを掘り下げます。

APIを理解する

まず押さえておきたいのがAPIです。APIとは、簡単に言うと窓口のようなものです。

普段はチャット画面を通じてAIとやり取りしていますが、自動化する場合は窓口が変わります。具体的には、OpenAIのAPIに接続し、そこからChatGPTのモデルを操作します。同じモデルを動かすにしても、手動で操作する場合と自動で操作する場合では、入り口が違うわけです。

このAPIの窓口でモデルを動かすと、所定の料金が発生します。とはいえかなり安く、普通に使う範囲なら1日10円程度になることが多いです。仕組みとしては、ChatGPTのサイトでAPIの登録をしてクレジットを登録し、使った分だけ料金を払う、という形になります。たとえば毎日100件のメールを読み込んで下書きを作ってもらうなら、その読み込みと下書き作成にかかった分の対価を支払う、というイメージです。

なお、このAPI利用料を抑えたいなら、ローカルLLMを組み合わせる選択肢もあります。手元のパソコンでAIを動かせば、かかるのは電気代だけです。

ツールを使う

ここまで来れば、自動化はもう目の前です。世の中にはAI自動化のツールがたくさんあり、導入は非常に簡単です。

具体的にはMake、Dify、Zapier、n8nなどがあります。私がおすすめするのはMakeです。理由は、無料で利用できる範囲が大きいからです。こうした自動化ツールは基本的に有料ですが、各社が無料枠を用意しています。その中でも無料の利用範囲が大きいのがMakeなので、初めてAI自動化に取り組む人にはMakeをおすすめしています。もちろん他のツールでも構いません。

あとは、Makeでブロックを組み合わせるように自動化を実装していくだけです。「自動化の実装なんてしたことがないから難しそう」と思うかもしれませんが、やってみると意外と簡単です。考え方はいたってシンプルで、「何かが起きたら、何かをする」。これを実装するだけです。

  • メールを受信したら、ChatGPTに下書きを作成させる
  • ドキュメントが作成されたら、ChatGPTに文章校正をさせる

基本的にはこの流れだけを、マウスでポチポチと組んでいくだけです。

それでもイメージしづらい、実装が不安だ、というときもAIを使います。自動化ツールの画面のスクリーンショットを撮ってAIに渡し、「ここでエラーが出ているんですが、どうしたらいいですか」「Makeで〇〇のような実装をしたいのですが、どう組めばいいですか」と質問するだけで、大体は解決します。今はMakeに関する情報も充実してきているので、AIが高精度で回答してくれます。初めてのツールでも、AIに相談しながら使い方をマスターしていく、という流れがおすすめです。

AI自動化のユースケース

ここからは、AIを自動化することで実際に何ができるのかを紹介します。先にお伝えすると、AI自動化はバックオフィス業務と相性がいいです。特に、決まった内容を反復する定型業務は効果が出やすい領域です。読みながら、自分の業務のどこが自動化と相性が良さそうか、想像してみてください。

情報収集の自動化

一つ目は情報収集の自動化です。私も実際に使っていて、主に海外で発信されている情報を自動収集し、AIに翻訳と要約をしてもらっています。

さらに発展させると、たくさん情報を集めたうえで、自分が好みそうな情報をAIに選別してもらう、という実装もできます。AIに好みを伝えておくわけです。私はAI関連の情報収集に使っていますが、各業界の情報収集にも応用できると思います。

メールの自動化

メールも相性が良い領域です。メールを受信したら内容に応じてAIに振り分けてもらったり、返信の下書きを作ってもらったりします。

ここでポイントなのは「下書きを作ってもらう」という点です。実は、メールを受信したら自動で返信まで送る、という自動化も簡単に実装できます。ですが、私はあえてそうしないことをおすすめします。AIが書いた返信文には誤りがある可能性が大いにあるからです。質問した内容に対して見当外れな返信が自動で返ってきたら、相手も気分が良くないですよね。こうしたことを防ぐために、必ず人間のチェックを挟むようにしています。指示を工夫すればほぼそのまま使える下書きが出てきますが、それでも100%の保証はないので、人間のチェックを入れるわけです。

ちなみに、AIへの指示の精度を底上げするテクニックとして、同じ指示を2回繰り返す方法もあります。分類のような自動化タスクと相性がいいので、あわせて試してみてください。

メールとタスク管理を組み合わせるのもおすすめです。特定のメールを受信したら、そのままタスクとして登録する。私は会社で受け取った特定のメールをGoogleタスクに登録するようにしています。「メールを受信したら〇〇する」とメールを起点にすると、いろいろなアイデアが出てきます。

カスタマー対応の自動化

業種にもよりますが、カスタマー対応の自動化もあります。ここでいう自動化は、問い合わせの要約やラベル付けによる分類などです。

通常は「問い合わせがあれば人間が対応する」という流れですが、その間にAIをワンクッション置くイメージです。問い合わせを要約してすぐ対応できるようにしたり、ラベルで分類したり、緊急度に応じて優先度をつけたり。これも全部自動化しようと思えばできますが、メールと同じ理由でおすすめしません。AIにはハルシネーション(誤った回答を生成するリスク)があり、チェックなしにお客様へ自動返信するのは、現時点では顧客体験を大きく損なうと考えています。

発展系として、お客様のメールから改善希望や提案を自動で抽出し、マーケティング担当や商品企画が参照できる状態にする、といった使い方もできます。

スケジュール調整の自動化

会議が多い会社では、この領域も自動化できます。スケジュール調整から会議URLの発行、リマインダーの設定、会議前に議題や資料を関係各所へ送信する、会議後に決定事項や次回アクションをまとめて送る、など。会議まわりのタスクは自動化と相性が良いです。

このように挙げていくとキリがないほど、AI自動化のアイデアは身の回りに転がっています。小さなタスクを自動化していくだけでも業務負担はかなり軽くなりますし、個人レベルでも効果はあります。これを会社レベルでやれば、目に見えて成果が上がってきます。AIを仕事に導入するなら、単なるチャットだけで終わらせるのはもったいないと感じます。

AI自動化の副次効果

AI自動化には、業務効率化のほかにもう一つ、副次的な効果があります。それは、AIの知見がたまることです。

自動化を実装してみると、いろいろな課題が見えてきます。メールの返信下書きを作るなら、「どういう指示が効果的なのか」「どのAIを使えば良い下書きになるのか」という疑問が必ず出てきます。先ほど触れたとおり、APIは使った分だけ料金がかかるので、「一番安くて性能のいいモデルはどれか」「ChatGPT、Gemini、Claudeのうち、どれが一番コスパが良いのか」といった疑問も湧いてきます。

人間は不思議なもので、課題にぶつかるとそこに学習のチャンスが生まれます。こうした疑問を一つずつ解いていくうちに、知らず知らずのうちにAIへの理解が深まっていく。これがAI自動化の隠れた副次効果だと思います。AIモデルの使い分けについては2026年に身につけたいAIスキルも参考になります。

業務も効率化でき、AIの知見もたまり、しかも導入コストはそれほどかからない。こうした側面を見ると、2026年、AIの自動化は取り組む題材として面白いと思います。

まとめ

最後に、今回のポイントをまとめます。

  1. AIの自動化を導入することで、ネックである人間の手を離れて、AIをより多く動かせます。
  2. AI自動化のキーワードはAPI。これはAIを自動で動かすための窓口のようなものです。
  3. すべてをAIで完結させるのではなく、カスタマー対応のように、場合によっては人間のチェックを挟む設計がおすすめです。

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