こんにちは、AIニュースアプリ Morning AI 開発者の矢野哲平です。この記事では、AIを使ったスライド作成について触れます。
過去にAIでスライド作りを試してみたけれど、うまくいかなかった。そんな経験のある方も多いのではないでしょうか。私自身もまさにそのパターンで、以前はなかなかうまくいきませんでした。ただ、最近いろいろ試してみたところ意外とうまく機能しているので、その方法を共有したいと思います。
この記事では、主に次の3つのポイントを解説します。
- どのAIツールを使ってスライドを作成するのか
- AIを使ったスライド作成の具体的な方法
- 実際にAIでスライドを作って感じた感想や課題
AIでスライドを作る3つのアプローチ
AIを使ってスライドを作成する方法は、大きく分けて3つあります。
アプローチ1:AIチャットでテキストを生成してコピペ
1つ目は、ChatGPTなどでスライドのテキストを生成し、それをスライドにコピペで貼り付けるパターンです。
メリットは導入の容易さです。普段使い慣れているAIチャットを使うので、すぐに始められます。デメリットは手間がかかること。スライド1枚1枚に、AIが生成したテキストをコピペしていく必要があります。
アプローチ2:スライド作成特化のAIツール
2つ目は、スライド作成に特化したAIツールを使うパターンです。たとえばGammaやNapkin AIなどが有名です。
メリットは、ユーザーが特に何かを用意することもなく、用意された環境を使うだけでスライドができる点です。デメリットは、お金が発生するケースがあること、そして細かい部分を自分で設定しにくい点でしょうか。
アプローチ3:AIにスライド作成のコードを書いてもらう
3つ目は、AIにスライドを作成するコードを書いてもらうパターンです。今回私がメインで話すのはこの方法になります。
このなかにもいくつかアプローチがあります。たとえばGoogleスライドはGoogle Apps Scriptというプログラミングで制御できるので、そのコードをAIに書いてもらってスライドを作る方法。もう一つが、MarpとAIエージェントを組み合わせる方法です。私が使っているのは後者です。
MarpとAIエージェントを組み合わせる
登場人物は2人だけなので、混乱しないように一つずつ説明します。
まずMarpは、マークダウンからスライド画面を作成できるツールです。オープンソースで、開発者は日本人の方です。マークダウンというのはテキストの形式の一つで、たとえばハッシュタグ一つで大見出し、二つで中見出し、といった具合に書けます。プロンプトでもマークダウンを使って書いている人は多いと思います。とにかく、マークダウン形式で書いた文章をスライドに変換できるのがMarpです。
このMarpにAIエージェントを組み合わせて、できるだけ人間の手間をかけずにスライドを作ろう、というのが今回のアプローチです。AIエージェントとは、AIが自律的に判断してタスクを遂行してくれるもののことです。AIエージェントの基礎についてはAIコーディングエージェントとは?も参考にしてみてください。
ここで登場するのがClaude Codeというツールです。Claudeを開発するAnthropicのAIコーディングツールで、エージェント的な振る舞いができます。たとえばこんなことができます。
- ソース(台本やPDF、文字起こし)を渡すと、内容を読み込んでスライドを自動生成し、ファイルとして作成してくれる
- スライドで使う画像も自動で設定してくれる
- スピーカーノートやトークスクリプトも自動で生成してくれる
これを一気通貫でやってくれます。1つ目に紹介したAIチャットでやろうとすると、ソースを渡して指示して、生成された内容を人間がコピペして新規作成して、と手間がかかります。AIエージェントのフローなら、ファイル作成まで一気に任せられるわけです。
AIエージェントというと導入のハードルが高そうに感じるかもしれませんが、今はエージェント的な振る舞いをするコーディングツールが手軽に導入できます。Claude Code以外にも、CursorやVS Codeなど入り口はいろいろあります。核となるのは「AIエージェント+Marpでスライドを作る」というシンプルな構造です。
会議が終わって音声ファイルを渡すと文字起こしされ、そこからスライドが自動生成される。PDF資料をスライドに変換してくれる。スライド作成は多くの業務で発生する面倒なタスクなので、ここをAIエージェントで効率化するのは面白い使い方だと思います。
ちなみに、Claude CodeやVS Codeはプログラマー向けのツールですが、実はプログラマーでない方にもおすすめです。文章の作成や構成、企画書作りといった場面でも活躍してくれるからです。エンジニアではないけれど、AIエージェントを使うためにプログラマー向けのツールを使う人は最近増えています。
スライド作成に適したAIモデルは?
AIのモデルによってスライド作成の出来が変わるのも興味深い点です。ChatGPT、Gemini、Claudeのどれが使いやすいと思いますか。いろいろ実験したので報告します。
- 新規でスライドを作成するケース:Claude → Gemini → ChatGPT の順
- 修正の指示にきちんと対応してくれるか:Gemini → Claude → ChatGPT の順
あくまで私の主観的な順位ですが、私が試した限りではこのような結果でした。なので、AIでスライドを作るときはまずClaudeをおすすめしたいです。とはいえAIモデルの進化は速いので、来月にはChatGPTのほうが精度が良い、という場面も十分あり得ます。最新モデルでの比較はClaude Sonnet 4.5とGPT-5の比較でも触れています。
画像はどうするか
スライドの見た目を整えるために画像を配置するケースは多いと思います。実は、AIエージェントを使うとこの画像配置も自動でやってくれます。
たとえばClaudeにMarpでのスライド作成を指示すると、Unsplashというフリー画像サイトから画像を引っ張ってきます。人間がわざわざフリー画像サイトに行って画像をダウンロードして貼り付ける必要はありません。
ただ、毎回そのページに最適な画像を引っ張ってくれるかというと、そうではありません。ここはまだ改良の余地があります。
そこで一つ面白い実験をしました。AIにそのページに合った画像を探してもらう方法です。具体的には、フリー画像や自分で生成した画像を準備し、画像のファイル名にその画像を説明するキーワードを5つほど含めます。たとえばオフィスで働く男女の画像なら office-working-man-woman-laptop といった具合です。こうした画像をいくつか用意しておき、AIに「このページの内容に最適な画像をimageフォルダから探してください」と指示します。これが意外とうまく機能します。
最初はAIに画像そのものを読み取らせて最適な画像を見つける方法を考えていたのですが、毎回画像を読み取らせるとコストもかかって大変なんですよね。そこでファイル名にキーワードを含めてみたら、意外とうまくいきました。スライドで使う画像のシーンは意外と限られるので、何十枚か用意すれば足りますし、一度設定すれば使い回しもできます。
「画像の特徴を5つのキーワードでまとめるのが面倒だ」という場合も、AIに任せられます。AIに画像を渡して「この画像の特徴を5つのキーワードでまとめてください」と指示すれば、中身を説明してくれます。私はパソコンにローカルのAI環境を構築して、画像フォルダの画像を一括で変換するようにしました。具体的にはGoogleのローカルで使えるAIモデルGemmaを使っています。この方法なら手間もコストも抑えられて、説明文の生成からファイル名の変更まで一括でできます。ローカルLLMの始め方はローカルLLMとは?で解説しています。もちろん、ChatGPTやGeminiのチャットに画像を渡してキーワードを抽出する方法でも構いません。
タスク分割の重要性
実験を進めるなかで改めて実感したのが、タスクを分割することの大切さです。これはスライド作成に限らず、AIにタスクをお願いするすべてに共通します。
AIにスライドを作ってもらうとき、「このソースから、文脈ごとに理解して、構成を考えて、画像を配置して、スピーカーノートもつけてください」と一度に全部を指示することもできます。ただ、ワンショットで全部指示すると、多くの場合は精度が落ちます。
それよりも、タスクごとに分割して指示したほうが精度は高まります。
- ソースの内容を文脈別に理解し、構成を考えるAIエージェント
- 構成からスライドを作成するAIエージェント
- ページに最適な画像を添付するAIエージェント
- 内容に応じてスピーカーノートを添付するAIエージェント
このように細かく分割して処理させると精度が上がります。これはOpenAIやGoogleのプロンプトガイドでも「タスクは細かく分割してください」と記載されている、汎用的なコツです。ちなみにClaude Codeではサブエージェントという機能で、こうした役割分担を設定できます。これがなかなか便利でおすすめです。
ノーチェックでできるか?課題
最後に、AIでスライドを作って感じた課題です。MarpとAIエージェントを使ったスライド作成はかなり満足しているのですが、人間のチェックや手直しが不要かというと、現状はそうではありません。
テキストの中身は問題なくても、視覚的に見たときに「このレイアウトは分かりにくい」「情報を詰め込みすぎ」と感じることがあり、そうした場合に手直しが必要になります。
解決策として考えているのは、視覚的な評価をAIに行ってもらうことです。スライドを作成した後に1ページずつ画像として読み込ませてAIに評価させる、というアプローチですね。面白そうですが、コストがかかるので、現状はまだ人間のチェックが必要な場面が残ります。
とはいえ、以前は失敗したスライド作成も、最近再挑戦したら意外とうまくできました。これから先もどんどん精度が上がって、ほぼ人間の手直しなしでAIにスライド作成を任せられる未来も近いと思います。AIにスライドを作らせ、AIに評価させ、人間の手直しがほぼ不要になれば、業務効率は大きく上がります。スライド作成のタスクが多い方は、MarpとAIエージェントの組み合わせをぜひ検討してみてください。
まとめ
最後に、今回のポイントをまとめます。
- AIでスライドを作るアプローチはいくつかあるが、この記事ではMarpとClaude Codeを使ったAIエージェントのアプローチを中心に紹介した
- いろいろ実験した結果、新規作成に適したAIモデルはClaude、Gemini、ChatGPTの順だった(あくまで現時点の主観)
- スライド作成に限らず、AIにタスクをお願いするときは分割して指示すると精度が上がる