こんにちは、AIニュースアプリ Morning AI 開発者の矢野哲平です。この記事では、Anthropicから新しく公開された「Claude Skills」について触れます。

私自身、この機能が発表されて公式サイトの説明を見たとき、正直なところ「なんだかよくわからない」という感想を抱きました。同じように、発表されたのは知っているけれど、何ができるようになるのか、そもそもClaude Skillsって何なのか、と感じている人も多いと思います。

そこでこの記事では、主に次の3つのポイントを解説します。

  1. そもそもClaude Skillsとは何か
  2. スキルの使い方
  3. スキルを使うことでできること

なお呼び方は、公式サイトでも「Claude Skills」と説明しているページもあれば「Agent Skills」と説明しているページもあり、まだ定まっていない印象です。この記事では言いやすさを優先して、以降は単に「スキル」と呼びます。

Claude Skillsとは?

スキルは、ちょうど少し前に発表されたClaudeの新機能です。現時点では有料プランからの利用となります。

どういったものかを簡単に言うと、事前に特定のタスクを実行するプロンプトを設定できる機能です。イメージとしては、ChatGPTのGPTsやGeminiのGemに近いものがあります。

たとえば、私がClaudeを使って毎日メールの下書きを作成しているとします。普段はプロンプトを入力して作成していくわけですが、1日に何回もメールの下書きを作るとなると、いちいちプロンプトを入力する手間が面倒になってきます。メモ帳やNotionに保存しておいたプロンプトをコピーして、チャット画面に貼り付けて作業する、という流れです。

こうした日常的に行う作業を事前にスキルとして登録しておけば、チャット上から簡単に呼び出せます。メールの下書き用のスキルを登録しておけば、チャット画面からそのスキルを呼び出すだけで、Claudeが下書きを書いてくれる。どこかからプロンプトを引っ張ってきてコピーする必要もなく、ワンステップで呼び出せるわけです。

スキルの使い方

スキルの使い方は非常に簡単で、設定画面からスキルをオンにするだけで使えます。

Claude側でいくつか公式のスキルが用意されていて、たとえばPDFなどのファイルを作成するスキル、Slack用のGIFアニメーションを作成するスキルなどがあります。公式が用意したスキルは現時点で9つです。

使いたいスキルをオンにしたら、あとはチャット上で明示的に呼び出すだけです。たとえば、

スキルを使用して「生成AIとは」というタイトルでPDFのレポートを作成してください。

このように指示すれば、登録したスキルが動きます。

スキルを自作する

公式が用意したスキルを使うのも良いのですが、活用の幅を広げるなら、自分でスキルを自作するのがおすすめです。

こう聞くとハードルが高そうに感じますが、実は非常に簡単です。なぜなら、Claudeの公式スキルの中に「スキルを作るスキル」があるからです。少しややこしいのですが、つまりスキルを作る作業そのものをClaudeがサポートしてくれる、ということです。

たとえば私は、こんなスキルを作ってみました。

画像の横幅を600ピクセルにリサイズするスキルを作ってください。

こう指示するだけでClaudeがスキルを作ってくれます。スキルを作るために必要な情報が不足している場合は、Claudeのほうから質問を重ねてくれます。「横幅を600pxにするとのことですが、縦幅はどうしますか」「縦横の比率は維持しますか」といった具合です。そのため、スキルの作成で困ることはほとんどないと思います。

最終的にZIPファイルが作成されます。これは複数のファイルが圧縮された状態のファイルです。これをダウンロードして、Claudeのスキル画面でアップロードするだけで、自作のスキルが使えるようになります。

整理すると、自作の手順は次のとおりです。

  1. Claudeに作りたいスキルを伝えて作ってもらう
  2. 生成されたZIPファイルを一度ダウンロードする
  3. それをClaudeの画面にアップロードする

このZIPファイルは、他の人に渡すこともできます。たとえば社内のチームで業務効率化に役立つスキルを作ったら、そのZIPファイルをチームメンバーに送れば、その人の環境でも同じスキルが使えます。スキルを共有できる点は、地味ですがとても大事なポイントです。

GPTsやGemとの違い

先ほど、スキルはGPTsやGemに似ていると話しました。身近な例でイメージしやすいようにそう説明したのですが、掘り下げれば掘り下げるほど、一見似ているようで実は違う、と感じるようになりました。

というのも、スキルのZIPファイルの中身を見てみると、プロンプトとプログラムで構成されているんですね。

「文章構成をしてください」「メールの下書きを作成してください」といったシンプルなスキルの中身は、プロンプトのみです。ところが「画像をリサイズしてください」のようなスキルの中身は、プロンプトとプログラムが混在しています。

ここが重要なポイントです。AIに、つまりプロンプトだけでできることには限界があります。たとえば以前、ポッドキャストのリスナーから「住所の重複を生成AIにチェックさせると失敗する」というお便りをいただいたことがありました。ExcelやCSVファイルに保存された住所に重複がないかAIにチェックさせようとしても、ハルシネーションが起きたり、うまく処理できなかったりする、と。私も手元でテストしてみたのですが、住所の数が1000件ぐらいを超えると、たしかにうまく機能しませんでした。

そこで私が提案したのは、生成AIにテーブルを直接処理させるのではなく、AIにプログラムを書いてもらって、そのプログラムでテーブルを処理する、というアプローチです。このほうが確実にタスクを遂行できます。

こうした、プロンプト単体では処理できないタスクは結構あります。そしてスキルでは、プロンプト単体では解決できないタスクでも、プログラムを組み合わせることで処理できるようになります。

たとえば、こんなスキルも作れます。

  • ユーザーがアップロードした音声ファイルの無音部分をカットする
  • 人物写真に写っている顔の部分だけにモザイクをかける
  • ユーザーがアップロードしたCSVの住所録から重複を検知する

音声ファイルの処理や画像処理は、通常の生成AIにはできません。でもスキルなら、その処理を行うプログラムをスキルの中に書けるので、こうしたタスクを実装できます。

どんなプログラムを書けるのかというと、私が確認した範囲では、Python、Shellスクリプト、JavaScriptが動かせます。エンジニアでない方には「何のことやら」という話だと思いますが、簡単に言えばPythonを使ってさまざまなことができるようになる、ということです。

「Pythonなんて書けませんよ」というケースでも大丈夫です。Claudeに質問すれば、ClaudeがPythonを書いてくれます。「Pythonを使って〇〇を実装したいです。できますか?」といった会話のスタートから、Claudeと相談しながら実装を進められます。

これも以前いただいたお便りなのですが、夜勤のシフト組みをAIにさせていた医師の方が、ハルシネーションの関係で望むようなシフトが組めなかった、という話がありました。その方が採用した解決方法は、Claudeに「アルゴリズムを使ってシフトを組むプログラムを書いてほしい」と依頼することでした。すると、Claudeが要望に沿ったシフト組みのプログラムを書いてくれた、と。こうしたこともスキルで実現できるようになります。

Anthropic自身も述べていることですが、生成AIが苦手なタスクの一部をプログラムに移すことで、AIはより高い精度でタスクをこなせるようになります。AIにシフトを組ませるのではなくプログラムからアルゴリズムで組む、AIに住所の重複を検知させるのではなくプログラムで検知する。タスクによっては、AIに任せるよりプログラムで解決したほうが良いものがあり、スキルではそのアプローチを採用できるわけです。

スキル同士を連携させる

スキルは、スキル同士を連結させることもできます。

たとえば、画像をリサイズするスキル、画像の拡張子をWebPに変換するスキル、画像のファイル名を特定のルールでリネームするスキル。これらを連携させて、AIワークフローのような使い方ができます。

使ってみた感覚としては、Claude Codeでサブエージェントを起動させているときに近いものがあります。Claude Codeには、特定のタスクに特化したエージェントを作成できるサブエージェントという仕組みがあり、設定したサブエージェントをClaude Codeがタスクに応じて呼び出しながら作業を進めていきます。スキルでも、Claudeがチャット上でスキルを呼び出しながら作業を進めていく、という似た光景が見られます。企業がどのようにこうした仕組みを業務へ落とし込んでいるかは、AIエージェントの活用事例の記事も参考になると思います。

なお、スキルが使える場所は、メインはClaudeのチャット上ですが、補足するとClaudeのAPIやClaude Codeからでも利用できます。

MCPとの違い

Claudeと言えばMCP(モデルコンテキストプロトコル)が有名です。少し専門的な話になりますが、MCPよりもスキルのほうがトークンの消費量が少なくて済むようです。

MCPはがっつり内容を読み込むのに対し、スキルはスキルの名前と説明だけをまず読み込み、実際に使う段階になってスキル全体を読み込む、という仕組みだからです。同じような機能をどれだけトークン消費量に差が出るかは私もまだ検証できていませんが、公式が言うにはスキルのほうがトークン効率は良いとのことです。

似たような機能を実装するのであれば、MCPよりもスキルで実装したほうが良さそうですね。有料プランに加入しても、使えるトークンは無限ではなく制限があるので、効率の良さは大事なポイントです。

スキルの未来

スキルの今後の展開について、Anthropicは次のように述べています。スキルの作成、編集、発見、共有、利用というライフサイクル全体をサポートする機能を、数週間にわたって追加していく、と。

「発見」と「共有」というワードが気になります。もしかすると、ChatGPTのGPTストアのようなものが出てくるのかもしれません。世界中のユーザーが開発したスキルをチェックできる場ができれば、面白いですよね。ただGPTsのときもそうでしたが、悪意のあるユーザーのスキルをどう扱うのか、という問題は出てくると思います。

さらに、将来的にはエージェント自身が独自にスキルを作成・編集・評価し、自分の行動パターンを再利用可能な機能として体系化できるようにしたい、とも述べられています。つまり、AI自体が独自にスキルを作り、フィードバックを得て勝手に改善していく、というイメージです。「矢野さん、よくメールの下書きを依頼するので、スキルとしてパッケージしておきました。ついでにプロンプトも改善しておきました」――こんなふうにAIが動いてくれたらありがたいですよね。

まとめ

最後に、今回のポイントをまとめます。

  1. スキルは、特定のタスクを実行するプロンプトを事前に設定できる機能。プログラムを組み合わせられるため、プロンプト単体では難しいタスクもこなせる
  2. 公式が9つのスキルを用意しているが、自分でスキルを自作することもできる。作ったスキルはZIPファイルで他の人に共有できる
  3. 設定画面でスキルをオンにすれば使える。現時点ではClaudeの有料ユーザーから利用可能

ざっと触ってみた印象としては、Claude Codeでやっているようなことを、Claudeのチャット上で手軽に実現できる機能だと感じました。出たばかりで今後の展開は読めませんが、実際に触ってみて面白い機能だと思いました。まだの方は、ぜひ一度試してみてください。