こんにちは、AIニュースアプリ Morning AI 開発者の矢野哲平です。この記事ではGoogleが公開した新モデル Gemini 3.7 Flash について触れます。
Gemini 3.7 Flashが公開、性能・料金と今すぐ使う方法(OpenRouter経由も)
Gemini 3.7 Flash の概要
Gemini 3.7 Flash は、Googleが2026年8月13日(日本語ブログは14日)に公開した新しいFlash系モデルです。
前モデルの Gemini 3.6 Flash が7月21日公開だったので、およそ3週間で次のモデルが出てきたことになります。Flash系のリリース間隔がかなり短くなっていますね。
Googleはこのモデルを、コーディングとエージェントタスクにおける現時点でのフラッグシップと位置づけています。ソフトウェアエンジニアリング、ナレッジワーク、ウェブ開発といったワークフロー全体で改善したという主張です。
具体的には、コードの初回生成精度、プロダクションレベルの実装への対応、多段階の計画立案の3点が強化ポイントとして挙げられています。
ベンチマーク
Googleが公開している前モデルとの比較は次のとおりです。
| ベンチマーク | Gemini 3.7 Flash | Gemini 3.6 Flash |
|---|---|---|
| FrontierCode 1.1 Main | 43.6% | 34.4% |
| DeepSWE v1.1 | 65.3% | 49.0% |
| WebDev Arena(Elo) | 1588 | 1538 |
| GDP.pdf | 34.0% | 22.0% |
| AutomationBench | 30.4% | 17.0% |
コーディング系(FrontierCode、DeepSWE)とエージェント系(AutomationBench)の伸びが目立ちます。特にAutomationBenchは17.0%から30.4%とほぼ倍増していて、エージェント用途を強く意識したモデルであることが数字にも出ています。
賢くなった分、考える時間は増えている
第三者機関のArtificial Analysisの計測もあわせて見ておくと、実態がつかみやすくなります。
同社のIntelligence Indexでは、3.6 Flash の52に対して 3.7 Flash(high)は56。スコアは着実に上がっています。
一方で、high設定では出力トークンの消費が3.6 Flash比で約40%増え、1タスクあたり平均37kトークンに達しています。最初のトークンが返るまでの時間も、high設定では中央値9.83秒、p95で49.5秒と、体感ではかなり待たされる場面があります。
ただしトークンの生成速度自体は約340トークン/秒とかなり速く、1タスクあたりの所要時間は平均1.7分。GPT-5.6 Terraと比べると40%速いという結果でした。
つまり「考え込む時間は長いが、書き出しは速い」モデルということです。チャットで1問1答する用途だと待ち時間が気になり、エージェントに長いタスクを任せる用途だと速く感じる、という差が出やすいと思います。
用途によって体感が変わるモデルなので、実タスクでの比較を自分でやってみるのが確実です。
料金
APIの料金は、2026年12月31日まで入力100万トークンあたり0.75ドル、出力100万トークンあたり3.75ドルです。Gemini 3.6 Flash の当初価格(1.50ドル / 7.50ドル)のちょうど半額にあたります。
2027年1月からは標準価格に戻る予定なので、年内は実質的な値下げ期間ということになります。
Gemini 3.7 Flash を使うには?
現時点での提供チャネルは次のとおりです。
- Google AI Studio
- Gemini API
- Google Antigravity
- Android Studio
- Gemini Enterprise / Gemini Enterprise Agent Platform
- Geminiアプリ(Google AI Pro / Ultra ユーザー向け)
開発者であればGoogle AI Studioから一番手軽に試せます。ブラウザで開いてモデルを切り替えるだけなので、APIキーの用意すら不要です。
問題はGeminiアプリ側です。Google AI Pro / Ultra ユーザー向けと案内されていますが、実際には段階的に展開されています。
私も有料プランに加入していますが、この記事の執筆時点ではGeminiアプリのモデル一覧に出てきませんでした。同じ状況の方はそれなりにいると思います。
これまでの流れを踏まえると、いずれ無料ユーザーにも降りてくるはずですが、それなりに時間はかかりそうです。
順番待ちが面倒ならOpenRouterから使える
「Proプランに入っているのにまだ使えない」という場合の回避策として、OpenRouter経由という選択肢があります。
OpenRouterでは公開当日の2026年8月13日からすでに提供が始まっていて、Geminiの有料プランの展開状況とは関係なく利用できます。モデルIDは google/gemini-3.7-flash、コンテキスト長は約105万トークンです。
さらに現時点では、OpenRouter限定でGoogleの年内価格からもう50%引きになっています。
| 提供元 | 入力(100万トークン) | 出力(100万トークン) |
|---|---|---|
| Google(年内価格) | $0.75 | $3.75 |
| OpenRouter(割引中) | $0.375 | $1.875 |
この上乗せ割引は8月27日までとアナウンスされているので、試すなら今のうちですね。
OpenRouterは単一のAPIキーで各社のモデルを切り替えられるサービスで、私もモデルの比較検証によく使っています。以前ビデオ生成APIを公開した件でも取り上げましたが、対応モダリティを着実に広げています。
APIキーを1つ用意すれば、Cline や Roo Code のような対応ツールからそのままモデルを指定できます。Geminiアプリの展開を待つより、こちらのほうが早く手を動かせるはずです。
なお、OpenRouterは従量課金なので、先にクレジットを購入しておく必要がある点だけ注意してください。
ベンチマークの形骸化問題
ところで少し話は変わりますが、最近AIモデルの性能を測るベンチマークが形骸化しているのでは?という指摘をよく聞きます。
というか、前から言われている話ではあります。
ベンチマークで良いスコアを出しても、自分の実務で使えるかどうかは別問題というケースです。今回のGemini 3.7 Flashも、スコアは軒並み上がっている一方で、待ち時間やトークン消費といった数字には現れにくい部分が体感を左右します。
Gemini 3の登場時にも書きましたが、結局のところ自分のタスクで試さないと判断できないんですよね。
こうした課題を解決する動きも出てきています。一般的なベンチマークで比較するのではなく、自社のデータでAIの性能を測るプロダクトです。
直近ではArtificial Analysisが Optima を発表しました。
Announcing Optima: create a custom benchmark for your use case - Artificial Analysis
自社のデータセットをアップロードしたり、ArizeやBraintrust、Langfuseといったプラットフォームからエージェントの実行ログを取り込んだりして、自分のユースケース専用のベンチマークを作れるサービスです。ユースケースを説明して入出力の例を渡すだけで、ベンチマーク自体を生成してもらうこともできます。
評価はルーブリック(採点基準)に基づく客観評価と、2つの結果を突き合わせるペアワイズ判定の2方式。モデルの精度だけでなく、1タスクあたりのコストと所要時間も追跡できます。
まとめ
最後に今回のポイントをまとめます。
- Gemini 3.7 Flash はコーディングとエージェント用途を強化した新モデルで、AutomationBenchは前モデル比でほぼ倍増
- スコアは上がったが思考トークンは約40%増。待ち時間とコストは自分の用途で確かめる必要がある
- Geminiアプリの展開待ちなら、OpenRouterから今すぐ使える(8月27日まで追加50%引き)
私たちが知りたいのは「性能が良いモデルはどれか」ではなく、「自社の実務で活躍してくれるモデルはどれか」です。
Optimaのように自社データで比較・評価できるツールが出てきていることは、頭の片隅に入れておいて損はないと思います。
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