こんにちは、AIニュースアプリ Morning AI 開発者の矢野哲平です。この記事では、Google AI Studioに新しく追加された「バイブコーディング」機能について触れます。
ここでは2つのキーワードを掘り下げます。「バイブコーディング」と「Google AI Studio」です。この記事を読むことで、バイブコーディングとはどういうものか、そしてGoogle AI Studioで何ができるようになったのかを持ち帰ってもらえればと思います。
具体的には、次の3つのポイントを解説します。
- そもそもバイブコーディングとは何か
- Google AI Studioに追加されたバイブコーディング機能
- 実際にバイブコーディングをやってみてどうだったか
バイブコーディングとは?
まず、バイブコーディングという言葉のおさらいから。
バイブコーディングは、元OpenAIのアンドレイ・カルパシー氏が提唱した新しいコーディングスタイルです。Vibes、つまり雰囲気や感覚に身を任せて、AIにコーディングを行ってもらうというものです。人間はコードを書かず、AIにコードを書いてもらう。2025年の前半ごろに登場し、ちょっとしたバズワードになりました。
とにかく、AIを使えば、特に難しい作業をしなくても、口頭で指示を出すだけでプログラミングができる、という話です。AIを使った新しいコーディングのスタイル、と言えばイメージしやすいかもしれません。AIにコードを丸ごと任せるという発想は、AIコーディングエージェントとは?で紹介したエージェント型ツールとも地続きの考え方です。
Google AI Studioのバイブコーディング機能
Google AI Studioは、Googleが提供する開発者向けのAIツールです。開発者向けと言っても、開発者でない方でも便利に使えます。このGoogle AI Studioに、バイブコーディング向けの機能が搭載されました。
もともとGoogle AI Studioには「Build apps」という、プロンプトからAIがアプリを作ってくれる機能がありました。今回、このBuild appsが強化され、バイブコーディング仕様になった、という流れです。以前Build appsを試したことがある人は、その機能が強化された、という認識で良いと思います。
では具体的に何が変わったのか。順番に紹介していきます。
1. 音声による指示
チャット欄にマイクボタンがついていて、音声で指示が出せます。
音声入力はGoogle AI Studioに限らず便利です。なぜなら、タイピングよりも音声入力のほうが2〜3倍ほど入力スピードが速いからです。AIへの指示が早くなり、業務効率化につながります。ChatGPTやGeminiのチャット画面でも音声入力は使えるので、気になる方はぜひ活用してみてください。
ただし、音声入力は場所を選ぶというデメリットもあります。カフェや会社など、環境によっては使えない場面もあります。とはいえ、環境が許すなら、AIと音声入力は非常に相性が良いです。
2. アノテーション機能
これは新しく導入された機能です。アノテーション機能をオンにすると、今開発しているアプリ画面のスクリーンショットが撮影され、そのスクリーンショットに文字や記号を書き足せるようになります。
たとえば、アプリの特定の場所の文字を別のものに変更したいとします。通常はテキストで「ここの文字を〇〇から〇〇に変更してください」と指示しますが、口頭で説明するのが難しい場面もありますよね。そんなとき、スクリーンショットに記号を書き込んで「この丸枠で囲んだ部分の文字を〇〇に変更してください」と視覚的に指示できます。
テキストではなく画像でAIに指示を出せる。これは結構便利な機能だと思いました。
3. AI機能の組み込み(Supercharge your apps with AI)
これは明確な名称がついていないのですが、画面上では「Supercharge your apps with AI」と表示されています。簡単に言うと、今から作るアプリに、Googleが開発しているAI機能を組み込めるというものです。
たとえば、画像生成AIのnano-banana、動画生成AIのVeo、Google検索データの利用、Googleマップ、音声生成機能など。Googleが持っているAI関連の機能や既存サービスを、今から開発するアプリに盛り込めます。私が確認した時点では16個用意されていました。
「アプリを開発できると言われても、何を作ればいいかわからない」というケースは結構あると思います。Googleがこうした機能を事前に提示してくれるのは、開発のヒントになりますし、種類も豊富なので、いろいろなAIアプリが作れると思います。
4. AIによる機能のレコメンド
アプリを開発していると、AIが「この機能はどうですか」とおすすめを提示してくれます。
自分の中で大まかに作りたいアプリのイメージはあっても、細かい部分は決まっていないことってありますよね。そんなとき、自分の意識の外からAIが提案してくれる。AIでアイデア出しをやったことがある人ならわかると思いますが、自分とは全く違う角度からの提案は結構助かります。
具体例を挙げると、私はGoogle AI Studioでキーワードリサーチのアプリを作りました。特定のキーワードを入力すると、候補や検索ボリュームを調べてくれる、Googleの検索データと連携したアプリです。すぐにできたのですが、AIが「分析結果のエクスポート機能を追加してはどうでしょうか」「結果をグラフで表示してはどうでしょうか」といった提案をしてくれました。特に、初めて開発するノンプログラマーの方には、こうした提案がありがたい場面が多いと思います。
AIの利用料はどうなる?
ここで疑問に感じる人も多いと思います。アプリ内でAIを使う場合、その利用料はどうなるのか、という点です。
Google AI Studioには、もともとAIの無料利用枠が設定されています。多くのことはこの無料枠の中でできます。仮に無料枠を使い切った場合でも、自分のAPIキーを追加できるので、利用が中断されることなくスムーズに移行できます。無料枠が回復すれば自動的に無料プランに戻ります。
もちろん、自分のAPIキーを設定しない限り課金されることはありません。
実際に使ってみた所感
実際にこの機能でアプリを作ってみた所感を一言で言うと、「楽しい」の一言に尽きます。
アプリを自分で開発するという選択肢は、これまでなかなか取れなかった人が多いと思います。でもAIが出てきて、今までアプリを作ったことがなかった人でも作れるようになりました。
ここで言うアプリ開発は、iPhoneやAndroidアプリを開発して収益を上げる、といった話ではありません。自分の業務の困りごとや課題を解決するような、個人やチームで使うアプリをさっと開発する、という場面でGoogle AI Studioは活躍します。
たとえば、今お金を払って使っている文字起こしアプリのようなものも、Google AI Studioを使えば自分で作れたりします。今お金を払っているものを自分で作ってみる、というアプローチが取れるのは、AIを使った開発ならではだと思います。
なお、Google AI Studioで作ったアプリは、他の人に共有することも、一般公開することもできます。ファイル一式をダウンロードすることも可能です。
複数のAIを組み合わせる
ダウンロードしたファイル一式を使って、開発の続きをClaude CodeやCodex CLI、Gemini CLIで行い、さらにブラッシュアップする、というアプローチも取れます。たとえば「デザインが気に入らないからデザイン面はClaudeにやってもらう」といった具合です。
余談ですが、デザインタスクにどのAIが使いやすいかを実験したことがあります。ChatGPT、Gemini、Claude、Grokの4つで試したところ、その時はClaudeがやはり強いと感じました。次にGeminiとChatGPTが同率、最後がGrok、という順番でした。もちろん新しいモデルが出るたびに結果は変わりますし、作るページ(ダッシュボードなのかWebサイトなのか)によっても変わりますが、Claudeはデザインに強いことで前から有名です。
なので、がっつりアプリを作り込みたい場合は、まずGoogle AI Studioのバイブコーディングで骨組みを作り、ダウンロードしたファイルのデザイン面をClaudeにお願いする、といった組み合わせもおすすめです。
開発中にエラーに遭遇して解決できないこともよくありますが、そんなときも一つのモデルに固執しないのがコツです。Geminiで解決できないエラーはClaudeやChatGPTに振り、その逆もする。あるモデルでは解決できなかったエラーが、別のモデルではすんなり解決する、ということが結構あります。
アプリの公開もAIで
開発したアプリを一般公開するのは、実は結構ハードルが高い作業です。まず、どのサーバーに公開するかを考える必要があります。Google AI StudioはそのままGoogle Cloudに公開できる仕組みになっていますが、それでも公開作業は大変です。
こうしたタスクもAIを使うとスムーズに進みます。具体的には、AIにアプリの公開手順書を作成してもらうのがおすすめです。公開が初めての人や、慣れない作業で戸惑う人には特に役立ちます。
このとき、Google AI Studioが意外と便利です。コンテキストウィンドウが大きく、会話の情報を長く保持してくれるからです。公開作業は手順が多いので、AIと対話しながら進めるには相性が良いです。ただし、Google AI Studioに入力した情報はAIに学習される可能性があるので、APIキーや設定情報のような大事な情報の入力には注意してください。
バイブコーディングの向き不向き
バイブコーディングにはメリットもデメリットもあります。
デメリットとしてよく挙げられるのは、本番環境に耐えるようなアプリを作るのは難しい、という点です。たとえば「メルカリのようなアプリを作りたい」といった本格的なアプリは、結構厳しいものがあります。一般公開する場合はセキュリティなどにも気を配る必要があるからです。
一方で、自分だけが使うアプリや、さっと開発して検証したい比較的軽めのアプリであれば、フットワーク軽く開発できます。使い分けが大事になってくると思います。
まとめ
最後に、今回のポイントをまとめます。
- Google AI Studioがバイブコーディング向けの仕様になり、より直感的にアプリ開発ができるようになった
- AIによる機能提案や、アプリ画面に修正指示を書き込めるアノテーション機能などが追加された
- 大規模なアプリ開発は厳しいが、個人やチームの業務を効率化する小規模なアプリ開発に向いている
最後に少し話が変わりますが、GoogleのCEOがGemini 3について「年内に予定されている」と言及しました。現在の最新モデルはGemini 2.5なので、次のGemini 3がいつ登場するか楽しみです。