こんにちは、AIニュースアプリ Morning AI 開発者の矢野哲平です。この記事では、業務効率の改善について、私自身の経験談とAIの話を絡めながら触れます。
私はいつも、どうすれば業務を効率化できるかを考えています。今回はその中から、特におすすめしたい3つのアプローチを紹介します。話すポイントは次の3つです。
- パソコン周りの環境を見直す
- 業務効率化のツールを自分たちで作る
- 手元のパソコンで動作するAI環境を構築する
何か一つでも、業務効率を改善するヒントが見つかれば嬉しいです。
1. パソコン周りの環境を見直す
最も導入しやすく、かつ効果があるのが、パソコン周りの環境の見直しです。ここではシンプルに3つ提案します。デュアルディスプレイ、AI音声入力、そしてショートカットアプリの導入です。
デュアルディスプレイの導入
デュアルディスプレイとは、パソコンのモニターを2台設置することです。すでにやっている方も多いと思いますが、何がいいかというと、シンプルに作業効率が上がります。Microsoftの研究では、最大で44%生産性が上がるという報告もあります。モニターを1台増やすだけで生産性が上がるので、見落としがちですがおすすめです。
特に今は、AIと一緒に仕事を進めるケースが増えています。AIエージェントを使っている人ならなおさらで、AIに指示を渡して作業させている間に自分も別の作業をする、という進め方をするなら、モニターは1台より2台あったほうが都合がいいです。
ただし、4台、10台と無限に増やせばいいわけではありません。人によりますが、最大で3台ぐらいがちょうどいいと思います。以前ウルトラワイドモニター(大人が手を広げたぐらいの横幅があるモニター)を導入したことがありますが、結局使わなくなりました。横幅があると首の可動域が大きくなり、長時間作業すると疲れてくるんですね。
AIエージェントを同時に起動して並行作業させる場合も、2〜3体ぐらいが限界だと感じます。AIエージェントにタスクを進めてもらっても、人間のチェックは必要ですし、AIから「これはどうですか」と質問が飛んでくることもあります。10体起動させることは技術的には可能ですが、リアルタイムで10人の部下に囲まれて、それぞれが質問してくる状況を想像すると、まず無理だとわかると思います。私は今デュアルディスプレイですが、正面で自分の仕事、左右でAIエージェントを動かす環境を作ろうかなと考えています。
AI音声入力の導入
次はAI音声入力です。皆さんはAIとやりとりするとき、どう入力していますか。おそらくキーボード入力の方が多いと思いますが、環境が許すならAIによる音声入力をおすすめします。
やり方は簡単で、ChatGPTのチャット画面の右側にあるマイクのアイコンを押して、パソコンに話しかけるだけです。なぜいいかというと、シンプルにキーボード入力より速いんですね。最大で3倍ほど入力スピードが速くなると言われています。この音声入力機能はGeminiにもあります。
カフェでの仕事だと音声入力は厳しいですが、会社で音声入力をOKにして環境を整えれば、業務スピードはかなり変わってくると思います。デュアルディスプレイと違ってモニターを買う必要がなく、マイクボタンを押すだけで使えるのもメリットです。
ChatGPTとGemini以外で音声入力をしたい場合は、AI音声入力アプリを導入すると解決できます。具体的にはSuperwhisperやAqua Voiceがおすすめです。私はもともとSuperwhisperを使っていましたが、最近はAqua Voiceに乗り換えました。処理スピードが若干速いと感じるからです。どちらもMac・Windowsの両方で使えます。
ショートカットの設定
3つ目はショートカットの設定です。毎日の業務でやることって、だいたい同じですよね。メールの画面を開く、ChatGPTの画面を開く、といった普段のアクションにショートカットを割り振ると、業務スピードが上がります。
私の場合、ワンクリックでChatGPT、Gemini、Google AI Studioを起動できるように設定しています。地味ですが、効果は確実です。ショートカットを設定していないと、ブラウザを立ち上げてURLを開いてサイトにアクセスする、という何気ない動作が毎回発生します。これをワンクリックにできるわけです。
設定方法はいくつかありますが、おすすめはRaycastというアプリです。もともとMac対応でしたが、最近Windowsにも対応しました。
2. 業務効率化のツールを自分たちで作る
ここからは切り口を変えて、AIを使って業務効率を改善するアプローチを紹介します。その一つが、自分たちの業務を効率化するツールを自分たちで開発することです。
少し前まで、ツールを作るにはプログラミングの知識が必要でした。でも今は状況が変わり、AIに質問することで開発できるようになっています。とはいえ「どんなツールでどんなものを作ればいいかわからない」という人も多いと思うので、おすすめのツールとアプローチを紹介します。
Google AI Studioでの開発がおすすめ
AIを使った開発にはいろいろな選択肢があります。ChatGPTやGeminiで開発する、本格的にAIコードエディターのCursorを使う、などです。その中で個人的におすすめなのがGoogle AI Studioを使った開発です。
画面はChatGPTやGeminiに似ているので使いやすく、何より長い会話を処理できるのが強みです。AIを使った開発は一度の会話で終わることがほぼなく、何度も会話を重ねて一緒に作っていくため、会話のボリュームが大きくなります。ChatGPTのチャット画面は処理できる量がそこまで大きくないため、会話が長くなると保持しきれません。一方、Google AI Studioはより大きな内容を処理できるので、じっくり腰を据えて開発するのに向いています。
エンジニアの方ならCursorやClaude Codeといった選択肢もありますが、エンジニアでない方には慣れないツールでハードルが高いと思います。その点でもGoogle AI Studioはおすすめです。
Chrome拡張機能とGoogle Apps Script
Google AI Studioで何を作るかというと、おすすめは2つ。Chrome拡張機能と、Google Apps Scriptを使った開発です。
Chrome拡張機能は、Chromeブラウザ上で使える機能です。iPhoneやAndroidのアプリをイメージするとわかりやすいと思います。もともとない機能でも、アプリをインストールすればいろいろなことができますよね。Chrome拡張機能も同じで、自分の好きな機能をブラウザに追加できます。さらにAIを使えば、その拡張機能を自分で開発できます。開発した拡張機能は自分だけで使うのもいいですし、チームに共有することもできます。
たとえば私は、プロンプト管理を効率化するChrome拡張機能や、複数のURLを入力すると一括で複数サイトを立ち上げる拡張機能を自分で開発しました。指示の出し方としては、こんな感じです。
〇〇の機能を持つChrome拡張機能を開発したいです。具体的な手順をステップごとに教えてください。他に必要な情報があれば私に質問してください。
これをGoogle AI Studioに入力すると、対話を重ねながら拡張機能を開発できます。
もう一つのおすすめがGoogle Apps Scriptです。これは、スプレッドシートやGmailといったGoogleのツールをプログラミングから操作できるようにするものです。たとえば社内でGoogleスプレッドシートをよく使っていて手作業のタスクがあるなら、それを自動化できないかAIに相談する、というイメージです。指示はChrome拡張機能と同様、実装したい処理を伝えてステップごとに教えてもらう形で進めます。
ツール開発のアプローチについてはAIコーディングエージェントとは?もあわせて読むと、全体像がつかみやすいと思います。
3. ローカルAI環境を構築する
最後は、手元のパソコンで動作するAI環境を構築することです。普段ChatGPTやGeminiにインターネット経由でアクセスして使っているのを、オフラインでも動く、手元のパソコンの中で動作する環境に置き換えるアプローチです。
一見ハードルが高そうですが、導入は意外と簡単です。いくつか選択肢がありますが、Ollamaというツールを使うと簡単に導入できます。Ollamaは、自分のパソコンにAIモデルをダウンロードして実行できるツールです。
たとえばOpenAIが公開したgpt-ossのようなオープンソースのモデルや、GoogleのGemma、MetaのLlamaなどを、自由にダウンロードして使えます(GPT-5はオープンソースとして公開されていないのでダウンロードできません)。
やり方は、今から口頭で伝えられるくらい簡単です。まずOllamaのサイトにアクセスしてアプリをダウンロードし、次にAIモデルをダウンロードする。以上です。これだけで、手元のパソコンでオフラインでAIを動かせます。あとは普段のAIチャットのように使うだけです。
ローカルAIの2つのメリット
自分でAI環境を構築するメリットは大きく2つあります。
1つ目は、入力した内容がAIに学習されないこと。会社でAI導入が進まない理由として、入力した情報が学習される、インターネット上に送信される、という懸念があります。オフラインでAI環境を構築すれば、その心配がなくなります。
2つ目は、AIを動かすコストが電気代だけになること。月額料金やAPI料金が発生しないので、コストを大きく抑えられます。使い分けるのがおすすめで、普段の業務はChatGPTやGemini、顧客情報や機密情報を扱う場合はローカルのマシン、という運用ができます。
タスクを小さく分解するとローカルで十分
ローカルAI環境の構築は、個人的にとても楽しいのでおすすめです。たとえば私が直近でやったのは、1行の英語テキストを日本語に翻訳するタスクを手元のパソコンだけで実装することでした。1回1回は大したことのないタスクですが、1時間に100回ほど処理したかったので、オンラインで構築すると料金がかさみます。そこで手元のパソコンだけで動くようにしました。使ったのはGoogleのGemma 3 4Bという比較的小さなモデルです。1行の翻訳なら、AIモデルの性能がそこまで高くなくても十分です。
このように、常に最新で高性能なモデルを使う必要がない場面は多くあります。タスクに応じて小さなモデルを使えるのも、ローカル環境の強みです。
ほかにも、OpenAIのWhisperという音声文字起こしのオープンソースモデルをインストールすれば、手元のパソコンだけで文字起こしができます。会議や顧客との会話など、機密情報で外部に送信できないケースでも安心です。私はこのWhisperをポッドキャストの文字起こしに使っています。文字起こしサービスはボリュームが増えると料金がかさみますが、手元のパソコンなら電気代だけで済みます。
このようにタスクを小さく分解していくと、「これは手元のパソコンだけで処理できるな」というものが意外と多くあります。ローカルAIの基礎についてはローカルLLMとは?で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
まとめ
最後に今回のポイントをまとめます。
- 業務効率の見直しは、パソコン周りの環境から。デュアルディスプレイ、AI音声入力、ショートカットの導入
- AIを使って業務効率化ツールを自分たちで作る。Google AI StudioでChrome拡張機能やGoogle Apps Scriptを開発するのが第一歩
- Ollamaを使って手元のパソコンにAI環境を構築する
もしどれか一つをおすすめするなら、やはりAIによる音声入力です。特別なツールは不要で、ChatGPTやGeminiのチャット画面でマイクアイコンを押すだけ。これだけでAIへの指示スピードが最大3倍速くなります。
そして余裕がある方は、自分のために何かツールを自作してみてください。AIは月単位で進化していて、プログラミングのハードルはどんどん下がっています。最初の一歩として、自分のためのツールを作るのは結構面白い体験なので、ぜひ試してみてください。