こんにちは、AIニュースアプリ Morning AI 開発者の矢野哲平です。この記事では、AIを使ったプログラミングの始め方について触れます。

「生成AIをさらに活用するには、どんなアプローチがいいですか」という質問をよく受けます。私はそのとき、ヒントは2つあると答えています。AIの自動化と、AIを使ったプログラミングです。今回はそのうち、AIを使ったプログラミングをメインに解説します。普段使っているChatGPTやGemini、Claudeといったチャットで、どんなステップで始めればいいのか。その解像度を上げてもらうのがこの記事のねらいです。解説するポイントは次の3つです。

  1. AIを使ったプログラミングの始め方
  2. AIを使ったプログラミングのメリットと落とし穴
  3. これからプログラミングを学ぶ必要はあるのか

なお、より本格的にエージェントへ任せたい場合はAIコーディングエージェントとは?もあわせて読むと、全体像がつかみやすいと思います。

なぜAIを使ったプログラミングなのか

AIを使ったプログラミングの何が良いかというと、業務効率化に貢献するツールを自分で作れるからです。

仕事でいろいろなツールを使う中で「このツールにこんな機能があればいいのに」「こんなツールが欲しい」と感じることは多いと思います。少し前なら、こうした要望を形にするにはプログラミングを勉強してツールを作る必要があり、ハードルが高いものでした。

ところがAIが登場したことで、面倒なプログラミングをAIにお願いし、誰でも自分のためのツールを作れるようになりました。GPT-4の頃はまだ精度が低めでしたが、最近はGPT-5やGemini 3を見てもわかるように、明らかに精度が上がっています。ここまで環境が整ってきているので、試さないのはもったいないと思います。

まずは何を作るか

おすすめは、身近なツールの拡張機能を作ることです。たとえば、

  • Chromeブラウザの拡張機能を作る
  • Excelのマクロを作って自動化する
  • Googleスプレッドシートを自動化するプログラムを書く

普段使っているツールを、AIを使ったプログラミングで強化するアプローチです。実際に私もChromeの拡張機能を作りました。プロンプト管理を楽にする拡張機能で、これによってAIに指示を渡すスピードが格段に速くなりました。

AIを使ったプログラミングの3ステップ

では、どうやって始めるのか。一番簡単な方法は、普段使っているAIチャットに相談することです。手順はシンプルで、次の3ステップに分けられます。

ステップ1: AIに相談する

まずはChatGPTやGemini、Claudeなどのチャットに、次のように相談します。

〇〇の機能を持ったChrome拡張機能を作ることはできますか?

すると、たいてい「作れますよ」と返ってきます。

ステップ2: AIに逆質問させる

この時点ではまだ情報が粗いので、会話を進めます。ここで使えるのが、人間がAIに質問するのではなく、AIに人間へ質問させるテクニックです。

ありがとう。内容を固めていきたいので、不足している情報があれば私に質問してください。

こう伝えると、AIが不足している情報を満たすまで質問してくれます。「データの保存場所はブラウザにしますか、クラウドにしますか」といった具合です。これはプログラミングに限らず、いろいろな場面で使い回せるテクニックです。AIと人間ですり合わせを行うイメージで、情報が揃ってくると、AIが「こんな機能はどうでしょうか」と提案をまとめてくれます。

ステップ3: 手順書を作ってもらう

人間側でチェックして問題なさそうなら、次のように指示します。

では、私が今から実装するので手順を指示してください。

すると、実装までの手順を細かく説明してくれます。ここでのポイントは、AIが出した手順書を別ファイルに保存しておくことです。step.txtstep.md のように保存します。チャット上の手順は会話ですぐ流れてしまうからです。

ここで言う「手順」とは、パソコンの操作や画面の操作のことです。一番面倒なプログラムを書く作業は、すべてAIに丸投げします。実装中に詰まったら「ステップ3の手順がうまくいかないのですが、どうすればいいですか」とフィードバックすれば、たいていの問題は解決します。

昔はインターネットで調べ、それでも解決しなければ質問掲示板に投稿して誰かに教えてもらう、という手順を踏んでいました。今はAIがそうした手順書まで作ってくれます。なおこの「手順書を作ってもらう」アプローチは、プログラミング以外にも応用できます。たとえば「Googleワークスペースを設定する手順をステップごとに書き出してください」といった使い方も便利です。

整理すると、AIを使ったプログラミングは、AIに相談 → AIに逆質問させる → AIに手順書を作ってもらう、という3ステップです。

おすすめのツール

どのツールでも問題ないと言いましたが、もう一歩踏み込むと、個人的にはGoogle AI Studioがおすすめです。Googleが提供するAIの開発ツールのようなもので、理由は2つあります。無料で最新モデルが使えること、そしてどのAIツールよりも長く会話を保持してくれることです。AIへの相談や逆質問で会話が長くなっても、精度高く文脈を保ってくれます。Google AI Studioの詳細は別の記事で解説しています。

さらに踏み込むと、各社が開発するコーディング特化のAIエージェントツールを使うのもおすすめです。ChatGPTならCodex CLI、GoogleならGemini CLI、AnthropicならClaude Codeです。これらのAIコーディングエージェントが最終的にはおすすめですが、ハードルが高いと感じる場合は、普段使っているチャットや無料のGoogle AI Studioでも十分です。

余談ですが、私は普段Claude Codeを使っています。ただ、ときどきデザインの修正がうまくいかないことがあります。たとえばアイコンの左の余白が揃わない、といったケースです。何度指示しても直らないとき、私はGemini CLIを使うようにしています。Claude Codeで解決しないデザイン修正がGemini CLIだと解決する、という場面によく遭遇します。Webサイトでも、iOSアプリのデザイン修正でも対応してくれました。普段はClaude Codeで進めつつ、デザインの問題はGeminiで解決する、というアプローチもおすすめです。

AIを使ったプログラミングの落とし穴

複数のAIを使い分けながらプログラミングを進めれば、できることの幅はかなり広がります。とはいえ、メリットしかないわけではありません。

最大の課題は、「0から1は速いけれど、6や7、8あたりになると苦しくなってくる」という点です。AIを使ったプログラミングは初速がとても速く、指示するだけで動くものがすぐに出来上がります。しかし、そこから機能を追加したり修正したりするうちに、精度が落ちたり、全体をコントロールするのが難しくなったりします。

具体的には、AとBというエラーがあってAを直し、次にBを直したと思ったら、改めて画面を見ると直したはずのAのエラーが復活している、といったことが起こります。コードの量が増えるほど、全体をコントロールするのが難しくなるのです。小さなプロジェクトならAIが高い精度でコントロールしてくれますが、大きく複雑になると破綻しやすくなります。だからこそ、最初はChrome拡張やExcelマクロのような小さなプロジェクトから始めるのがおすすめなのです。

プログラミングを学ぶ必要はあるのか

では、大きく複雑なプロジェクトはAIで実装できないのかというと、そうではありません。ただ、複雑になるほど、人間側にプログラムの知識があるかどうかで結果が変わってきます。

「これからプログラミングを学ぶ必要はあるのか」は、たびたび話題になるテーマです。実際、Replitのアマジャド・マサドCEOが「もうコーディングを学ぶ必要はない」と発言して議論を呼んだこともあります(gigazineの記事)。

私自身の現時点の考えを言うと、勉強したほうがいいと感じています。なぜなら、少し勉強するだけで、AIへの指示が変わってくるからです。ある分野のタスクをAIに頼むとき、その分野の知識があるかないかで指示は変わり、結果的に回答の精度も左右されます。

プログラミングの学習というと、数ヶ月から半年ずっと勉強しなければならないように思うかもしれませんが、そうではありません。週末に時間をとって勉強するだけでも、AIへの指示は劇的に変わります。このAI時代において、プログラミングの知識は非常にコスパの良い知識だと思います。もちろん、しっかり時間をかけて勉強すればより良い結果が出ますが、少しの勉強でも十分に成果が得られる、というのが近年のプログラミングに感じていることです。

おすすめの学習リソース

学習の選択肢は無数にあるので、いくつかおすすめを共有します。まず、ハーバード大学が無料で公開しているCS50というコンピュータサイエンスの動画講座です。世界的にも有名で、非常にわかりやすい講座です。iOSアプリを開発したい人には、スタンフォード大学のCS193pもおすすめです。

どちらも英語ですが、YouTubeの翻訳機能を使えば日本語字幕で見られますし、わからない部分はAIに質問すれば掘り下げられます。YouTubeの内容をNotebookLMに渡して、スライド化したりAI音声のポッドキャストに変換したりして復習するのもよい方法です。

年末年始に1日2日でも時間が取れたら、プログラミングの知識を少し吸収してみてください。AIのまた違った使い方が見えてくると思います。

まとめ

最後に、今回のポイントをまとめます。

  1. 生成AIをより活用する鍵は、AIの自動化とAIを使ったプログラミングにある
  2. AIを使ったプログラミングは、普段使っているAIチャットから誰でもいつでも始められる
  3. 手順は3ステップ。AIに相談 → AIに逆質問させて情報を充実 → AIに手順書を作ってもらい、それに従って人間が実装する