こんにちは、AIニュースアプリ Morning AI 開発者の矢野哲平です。この記事では、ChatGPTに追加された分岐機能と、プロジェクト機能について触れます。
どちらもAIとの会話をより効率的に管理できる機能です。特に複数のアイデアを検討したいとき、違うパターンの資料を作りたいときに威力を発揮します。無料ユーザーでも使える機能なので、ChatGPTユーザーはぜひチェックしてください。話すポイントは次の3つです。
- 分岐機能の概要
- 分岐機能の使い方
- 分岐機能と同じようにチャットを管理できるプロジェクト機能
分岐機能とは何か
そもそも分岐機能とは何かというと、簡単に言えば会話を分岐できる機能です。ちょうど電車のレールのように、会話を左右に枝分かれさせることができます。
具体例で説明します。たとえば私がAIとアイデア出しをしていて、「今年の秋冬、新商品のマーケティングアイデアを出してください」と頼んだとします。ChatGPTがA案とB案を出してくれました。
- A案:インフルエンサーを起用したマーケティング
- B案:リアル店舗でのポップアップストア
どちらも興味深いので、それぞれ深掘りしたいと思いました。これまでなら、一つのチャットの中で「まずA案をお願いします」と話し、その後「今度はB案について詳しく聞かせて」と続けていたと思います。
ですが分岐機能を使えば、A案とB案をそれぞれ独立したチャットに分岐させて深掘りできます。A案の深掘りはこちらのチャット、B案の深掘りはあちらのチャット、というイメージです。
分岐機能のメリット
チャットを分岐させると何がいいのか。会話が長くなると、AIは精度が低くなってくるんですね。これはChatGPTに限らず、他のAIにも言えることです。
今回はA案・B案の2つでしたが、これがA〜Eの5案あると、一つのチャットで処理しようとすると会話はかなり長くなります。分岐機能を使えば、5つのアイデアをメインのチャットから分岐させて深掘りできます。AIは複数のトピックが混じると回答精度が落ちる傾向があるので、一つのチャットで一つのトピックを扱うことは、回答精度のアップにもつながります。
もう一つのメリットは、シンプルにチャット画面がスッキリすることです。一つのチャットでA案もB案もC案も掘り下げると画面が見にくくなりますが、分岐機能を使えば整理できます。
利用対象者と使い方
この分岐機能は、無料・有料ユーザー関係なく、Web上でログインしている全ユーザーが使えます。
使い方を説明します。まずChatGPTと会話をします。その回答の下側に、点が3つ並んだアイコンがあります。これをクリックして「新しいチャットに分岐」というボタンを押せば、分岐機能が使えます。分岐したチャットには「枝分かれ」という形で自動的にタイトルが付きます。たとえば「枝分かれアイデアA」「枝分かれアイデアB」のように新規チャットとして処理されます。
補足すると、分岐機能が使えるのはWeb版にログインしているユーザーのみです。Macのデスクトップアプリや、iPhone・Androidアプリではまだ使えないので注意してください。また、まだ会話をスタートしていない最初の画面では分岐機能は表示されません。
分岐の制限と運用のコツ
分岐は1回しかできないわけではありません。確認したところ特に制限はなく、たくさん分岐できます。たとえばA案・B案で枝分かれして、A案からさらにA1・A2・A3と分岐することも可能です。
ただ、あまり分岐しすぎると迷子になってしまうので、3階層ぐらいまでにとどめるのが運用しやすいと思います。チャットの名前は変更できるので、自分なりのルールを決めて名前を付けると管理しやすくなります。たとえばメインのチャットを「メイン:新商品マーケティング戦略」とし、そこから分岐したものを「新商品マーケティング戦略A インフルエンサー起用」「新商品マーケティング戦略B ポップアップストア」とする、といった具合です。
その他の活用方法
分岐機能は、アウトプットを複数作る使い方もできます。たとえばChatGPTで会社で使う資料の下書きを作っているとして、それを複数バリエーションでアウトプットできます。
- Aパターン:会議で使う用に簡潔に記載した資料
- Bパターン:上司に提出するため、より詳細に記載した資料
- Cパターン:営業部門向けに、専門用語を除外した資料
ほかにも、複数のアイデアを同時並行で深掘る、複数の戦略を同時に検討する、といった使い方ができます。プロンプトの検証にも便利です。プロンプトA・B・Cを用意して、どれが一番精度が高いかを分岐機能でテストする、という使い方ですね。複数のプロンプトを比較するアプローチは、GPT-5のプロンプトを改善するで紹介したテクニックとも相性がいいです。
分岐機能の強みは、オリジナルを保存しながら、さまざまなバリエーションを検証できる点にあります。
注意点とバグ情報
1点補足です。会話が長くなった場合、分岐機能が表示されないというバグ(あるいは仕様かもしれません)が報告されています。SNSでユーザーの方から教えてもらったのですが、ChatGPTとの会話があまりに長いと、分岐機能のボタンが表示されないケースがあるそうです。教えてくれた方は、ChatGPTで小説を書いていて、かなり長いやりとりをしていたとのこと。私も手元で再現したところ、確かに分岐するボタンが表示されませんでした。
もし分岐機能を試したときに「ボタンが出ないときがあるな」と感じたら、似たような現象かもしれません。頭の片隅に置いておいてください。
他のAIとの比較
GeminiやClaudeに分岐機能はないのか、という点も気になると思います。結論を言うと、GeminiやClaudeのチャット画面では分岐機能はまだ実装されていません。現時点でチャットの分岐が使えるのはChatGPTのみです。
ただし一点補足すると、Google AI Studio(Googleが提供する開発者向けのツール)では、チャットの分岐機能が実装されています。実はGoogle AI Studioのほうが先に、かなり前から実装していました。なので、ChatGPTの分岐機能の評判が良ければ、Geminiのチャットにもいずれ実装される可能性はあります。もともとこのChatGPTの分岐機能も、ユーザーの声を拾う形で実装された機能です。チャットを分岐させたいという要望は、ユーザーの中で強かったようですね。
プロジェクト機能との組み合わせ
せっかくなので、プロジェクト機能についても触れます。これは簡単に言うと、プロジェクト単位でチャットを管理できる機能です。もともと有料プラン向けでしたが、最近、無料ユーザーも使えるようになりました。
イメージしにくいと思うので例えると、会社から新しいプロジェクトを任されたとします。そのために情報収集、競合調査、戦略策定、企画書作成など、いろいろな作業をChatGPTで行うと、それぞれのチャットがバラバラになりますよね。画面左側のチャット履歴は時系列で並ぶので、途中で別のチャットを挟むと管理がバラバラになってしまいます。
こうしたとき、チャットを一つのフォルダの中で管理できると便利です。それができるのがプロジェクト機能です。パソコンでファイルをフォルダごとにまとめるのと同じような使い方ができる、というわけです。
プロジェクト機能はWeb版に加えて、iPhone・Androidアプリでも利用できます。プロジェクトと分岐を組み合わせることで、チャットがぐっと管理しやすくなります。プロジェクト機能の中でも分岐機能は使えます。
プロジェクト機能の使い方
使い方を説明します。画面左側のサイドバーに「プロジェクト」という項目があります。「プロジェクトを新規作成」をクリックして、新しいプロジェクトを作ります。イメージはパソコンにフォルダを作る感覚です。あとは、そのプロジェクト内でいつもどおりチャットをしていくだけ。たくさんチャットを作っても、プロジェクト内でまとめて管理できます。
さらに、プロジェクト内だけで機能するカスタム指示を設定することもできます。たとえば「このプロジェクトは会社で使う資料のドラフト作成用です。ドラフトを作成する場合はすべて会社のフォーマットに従ってください」といった具合に、プロジェクト内だけで効く共通の指示を作れます。このカスタム指示も無料・有料関係なく設定できるので、あわせて試してみてください。
まとめ
最後に今回のポイントをまとめます。
- ChatGPTの分岐機能を使えば、チャットを分岐させて複数のアイデアや戦略を深掘りできる
- 分岐機能は無料ユーザーも使えるが、Web版に限定される。Macのデスクトップ、iPhone・Androidアプリではまだ使えない
- プロジェクト機能も無料ユーザーが使えるようになった。チャットをフォルダごとに管理でき、整理に役立つ
分岐機能とプロジェクト機能を組み合わせれば、ChatGPTでのチャット管理が一段と効率的になります。ぜひ使ってみてください。