こんにちは、AIニュースアプリ Morning AI 開発者の矢野哲平です。この記事では、OpenAIが新しく公開したデスクトップ版の「Codex」について触れます。
公開されたばかりで、どういったツールなのか、誰が使えるのか、私たちの業務にどんな影響があるのか、疑問を感じている人も多いと思います。この記事を読み終えるころには、Codexの解像度が上がるように解説していきます。
この記事で解説するポイントは、主に次の3つです。
- そもそもCodexとは何なのか
- Codexでできること
- 実際にCodexを使ってみた感想
Codexとは?
Codexを一言で言うと、OpenAIが公開した、コーディングなどのタスクを実行できるデスクトップアプリです。見た目はChatGPTのような画面で、デスクトップアプリとして提供されています。
誰が使えるのかを先に整理すると、現時点ではMacユーザーで、かつChatGPTの有料プランに加入している人が利用できます。ただし公開記念ということで、ChatGPTの無料プランの人も期間限定で利用できるようになっています。
名前がややこしいので整理する
私も最初にこのツールが出てきたとき、「Codexって前にもリリースされていなかったかな」と思いました。
実はChatGPTの画面を開くと、左側のサイドバーに「Codex」という項目があります。これは主にオンラインでコーディングを行うための機能でした。ざっくり言うと、そのCodexがデスクトップアプリとして公開されたようなイメージです。
さらにややこしいのが、Codexはツールの名前であると同時に、モデルの名前でもある点です。普段私たちはChatGPTでGPT-5.2のようなモデルを使っていますが、それとは別に、コーディングに特化したGPT-5.2 Codexというモデルもあります。先週にはGPT-5.3 Codexという新しいバージョンも公開されました。
整理すると、Codexは「コーディング系に特化したツールやモデルの総称」と捉えておけば十分です。
Codexでできること
このデスクトップ版Codexでできるのは、パソコンのファイルを操作してコーディングを行うことです。
「自分はコーディングなんてしないよ」と思う人もいるかもしれません。ただ、私が初めて触ったときに抱いたのは、「アイデア次第でコーディング以外のタスクにも使えるかもしれない」という印象でした。
理由のひとつが、画面がChatGPTのチャット画面とほぼ同じだという点です。コーディング系のツールは、プログラムのコードがずらりと並んだ画面で、とっつきにくさを感じることが多いですよね。それに比べてCodexは導入しやすいと感じました。
使い方も簡単で、左側のサイドバーにチャットの履歴があり、右側のメイン画面でAIとやり取りします。普段使っているChatGPTのチャット画面とよく似ています。
違うのは、手元のパソコンのファイルを直接操作できる点です。通常ChatGPTにファイルを処理してもらうには、いったん画面にアップロードする必要があります。Codexなら、その手間なくパソコンのフォルダにあるファイルへ直接指示を出せます。
たとえば、こんな指示が可能です。
領収書フォルダにある領収書の画像を、青色申告に従って仕分けしてください。仕分け後は、その結果をファイルとして出力してください。
スキルによる外部ツール連携
Codexには「スキル」という機能があり、外部ツールとの連携も行えます。スキルの一覧を見ると、Notionへの接続、スプレッドシートへの接続、PDFの作成・編集、ブラウザの自動化など、さまざまなものが用意されています。
たとえばテキストを音声に変換するスキルもあります。裏側ではテキストから音声を生成するプログラムが動いているのですが、利用者としては普段ChatGPTに相談するのと同じ感覚でスキルを呼び出せます。プログラミングをしているというより、AIとの対話の延長でこうしたことができるわけです。
つまりCodexはエンジニア向けのツールであることに変わりはありませんが、スキルを組み合わせたりアイデアを工夫したりすることで、プログラミング以外のタスクでも使えるポテンシャルを秘めていると感じます。
スケジュール機能
私がCodexで一番いいなと思ったのが、スケジュール機能です。時間を決めて、タスクをAIに自動で実行させられます。
たとえば毎朝、株価や天気、経済ニュースをAIに取得させ、そこから台本を作り、先ほどのテキスト読み上げスキルで音声化する、といった一連の流れを自動化できます。あるいは、領収書フォルダの画像を毎週日曜にチェックして青色申告用のデータに反映する、といった使い方も可能です。
実行間隔は1時間ごとや、曜日・時刻の指定もできます。平日毎朝6時にニュースを取得してレポートを作成する、下書きフォルダのドキュメントを定期的に誤字脱字チェックする、といったことが実現できます。
さらに、これらの作業は並行して実行できます。AIを複数起動して、Codexでアイデア出しをしている裏側で、領収書を処理したりドキュメントの誤字脱字をチェックしたり、同時並行で進められます。
実際に領収書整理を試してみた
実際に、私はCodexで領収書の整理を行ってみました。
具体的には、領収書フォルダを用意し、iPhoneで撮影した領収書の画像をそこに置きます。そのフォルダを定期的にチェックさせ、画像があれば青色申告に従って処理し、結果をファイルに出力する。領収書の画像には日付と名前をつけ、処理済みのものはチェック済みフォルダへ移動する。こうしたタスクを組みました。
結果は、問題なく処理できました。スターバックスやコメダ珈琲のような有名どころの領収書は問題なく仕分けしてくれます。マイナーな店名や会社名だと分類エラーが出ることもありましたが、これは指示にひと工夫を加えると解決しました。
判別ができない領収書は、その店名や会社名を検索し、検索結果から類推して分類してください。
この一文を追加すると、問題なく仕分けするようになりました。
ただし、AIにはハルシネーション(誤った結果を出してしまう現象)があります。仕分け結果を100%信用するのは危険なので、一度AIが分類した結果を別のAIで分析し、誤りがないかダブルチェック、必要ならトリプルチェックをさせる仕組みにすると安心です。このチェックも人間がいちいち指示するのではなく、スケジュール機能で自動的に回せます。
こうしたプログラミング以外のワークフローを構築しやすいのが、Codexの面白いところです。その立役者がスケジュール機能だと感じています。
Claude Coworkとの比較
私は以前、似たようなツールとしてClaude Coworkを紹介しました。AnthropicというOpenAIの競合が開発したデスクトップ型のAIエージェントで、印象としてはCodexと結構似ています。
Claude Coworkでも領収書の仕分けを試しましたが、精度としてはCodexと同じく高く、どちらも問題なく仕分けしてくれました。処理にかかる時間はClaude Coworkのほうが速いですが、自動で動かすのであれば人間がパソコンの前に張り付いている必要はないので、処理時間はあまり気になりません。
ただ、Claude Coworkは現時点ではスケジュール機能がありません。そのため、タスクをスケジュール通りに自動実行させたいなら、Codexのほうが使いやすいと感じました。また、普段からChatGPTを使っているユーザーからすると、Codexのほうが直感的に扱えると思います。
スケジュール機能の有無、そしてChatGPTユーザーにとっての馴染みやすさという観点では、現時点ではCodexに軍配が上がるという印象です。
AI自動化ツールとしてのCodex
ここからは視点を変えて、Codexを「AI自動化ツール」として見てみます。
Codexの主な想定ユーザーはエンジニアだと思いますが、スケジュール機能があることで、AIの自動化ツールとしても評価できます。決まった時間に自動でAIを動作させられるからです。毎朝経済ニュースを取得して要約させたり、特定のフォルダのファイルを処理させたりできます。
さらに踏み込むと、プログラムのコードも自動化のワークフローに組み込めます。たとえばAIに経済ニュースを取得させると、毎回100%の精度で取得できるわけではありません。そうした不安定な部分はプログラムで補えます。プログラムで特定のニュースサイトから経済ニュースを取得し、その内容をChatGPTに要約させ、レポートファイルを作成してフォルダに格納する、といった流れです。
「プログラムなんて書けないよ」という人もいるかもしれませんが、Codex自体にプログラムを書くための土壌が揃っています。口頭で「こういうことをやりたいので、プログラムファイルとして出力して」と指示し、「自動化のワークフローの中で毎朝このファイルを起動して」と伝えれば、ワークフローを構築できます。
整理すると、自動化のワークフローには3つの段階があります。
- AIだけで回すフロー
- AIと人間で回すフロー
- AIと人間とプログラムで回すフロー
AIだけの自動化は、AIが時々ミスをするため不安が残ります。そこに人間のチェックを入れると精度が上がり、さらにプログラムの視点を加えるとより精度を高められます。AIが苦手なタスクをプログラムで解決できることがあるからです。
実際、以前「AIで住所録の重複を検知したいがうまくいかない」という相談を受けたことがあります。手元で検証すると、200〜300件なら検知できるのに、1000件を超えると途端に精度が落ちました。これはAIではなくプログラムで重複検知するアプローチに切り替えたところ、うまく機能しました。
まずはAIだけでワークフローを回し、課題が見えてきたら人間やプログラムを加えて精度を上げていく。こうしたアプローチがあることを頭の片隅に置いておくと、AIの活用方法にまた違った視点が見えてきます。AI自動化の実装をどう進めるかは、2026年、AIの自動化に着手するでも詳しく触れています。
スケジュール機能を活かすにはパソコンの稼働が前提
スケジュール機能について補足すると、自動でAIを動かす間は、当然パソコンを起動しておく必要があります。手元のパソコンのファイルに処理を行いたい場合は特にそうです。MacBookをカバンに入れて移動している間はパソコンが起動していないため、自動処理を走らせられません。ここは人によってはネックになるかもしれません。
ただ、パソコンを24時間稼働させるアプローチも面白いと思います。AIの自動化というのは、実際にはAIが24時間動ける環境が整っていることが前提です。Make、Zapier、n8n、Difyのような自動化ツールも、結局どこかのコンピュータ上で24時間プログラムが動いています。こうした環境を自分のパソコンで構築する、というイメージです。
私はMacのデスクトップを24時間つけっぱなしで稼働させていますが、心配していた電気代は意外とかかりません。Tailscaleのようなアプリを使えば、出先のノートパソコンやiPhoneから自宅のパソコンにアクセスして作業させることもできます。さらにローカルLLMをインストールしておけば、かかるのは電気代だけで無料でAIを動かせます。
こうした環境があると、面白い仕事の進め方ができます。夜、家族に「おやすみなさい」を言って寝る一方で、AIには「さあ、仕事の時間だ」と。寝る前にAIに仕事を振っておき、朝起きて成果をチェックする。退勤前にタスクを振っておき、出社したら結果を確認する。数年前には考えられなかった仕事の進め方です。
私の肌感覚では、まだAIに100%委任できる仕事は多くなく、人間のチェックが必要なタスクのほうが多いです。それでも、2〜3年前と比べると、自動化のワークフローを組んでAIにお願いできるタスクは確実に増えています。
現時点でCodexを利用するにはMacユーザーという縛りがありますが、おそらく年内にはWindows版もリリースされると思います。寝る前にAIにタスクを振って、寝ている間に仕事をしてもらう。そんな進め方を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
最後に、今回のポイントをまとめます。
- OpenAIが公開したデスクトップ版Codexは、エンジニア向けのツールでありながら、エンジニアでない人でも面白い使い方ができる
- 現時点で利用できるのはMacユーザーかつChatGPTの有料プランのみ。公開記念で期間限定で無料ユーザーも使える
- スケジュール機能が強力で、AI自動化ツールという側面も持つ
CLIで同じようなことを試したい人は、ターミナルで動くCodex CLIも選択肢になります。エージェント型のツールはどんどん進化しているので、ぜひ一度触れてみてください。