こんにちは、AIニュースアプリ Morning AI 開発者の矢野哲平です。この記事では、調査タスクを効率化してくれるAIの機能「Deep Research(ディープリサーチ)」について触れます。
きっかけは、これまで有料プラン限定だったChatGPTのDeep Researchが、無料プランでも使えるようになったことです。私の環境では4月27日の朝に確認できました。多くの方が利用できるようになったタイミングなので、改めてこの機能を取り上げます。
この記事で解説するポイントは主に次の3つです。
- ChatGPTでDeep Researchが無料化したこと
- Deep Researchのユースケース
- AI各社のディープリサーチの比較
Deep Researchとは?
Deep Researchを簡単に言うと、通常の検索よりも深く調査できる機能です。
具体的には、AIが思考を重ねながら調査タスクを実行していきます。OpenAIがDeep Researchを「調査タスクのAIエージェント」と表現しているように、人間の少ない指示でもAIが自律的に調査対象や内容を考えて動いてくれます。数十のサイトを参照しながらレポートをまとめてくれるので、しっかりした調査内容を効率的に集められます。
AIエージェントそのものについてはAIコーディングエージェントとは?でも触れていますが、Deep Researchは「調査」という1つのタスクに特化して自律的に動くAIエージェント、という位置付けで捉えるとわかりやすいと思います。
使い方も簡単です。ChatGPTにアクセスして、チャット画面に「Deep Research」のボタンが表示されていれば利用できます。あとはそのボタンを押して、プロンプトを入力するだけです。たとえば、
ポッドキャストの国別ユーザー数を教えて
ABC株式会社の有価証券報告書を参考に、直近の業績やニュースを調査して
といった具合です。
補足すると、Deep ResearchはChatGPT固有の機能ではありません。GeminiやPerplexity、Grokなど他のAIでも、同じような機能を展開しています。Grokだけは「Deep Research」ではなく「Deep Search」という名前なのでややこしいのですが、各社ともこの方向の機能を持っています。
なぜDeep Researchを使うのか
私自身の経験も踏まえて言うと、最大の理由は調査タスクの効率化です。
仕事をしていると、調べ物って多くないでしょうか。会社から指示された調査や、自分が「これってどうなっているんだろう?」と思って検索することは、多くの人にとって日常的だと思います。そのインターネット上の調べ物を効率化してくれるのがDeep Researchだと考えていいと思います。
メリットは主に2つあります。
メリット1: 大規模な調査を自動で行える
Deep Researchを実行すると、だいたい数十サイトの情報を参照してレポートを作成してくれます。
人間の手で行うGoogle検索だと、こうはいきません。キーワードを打ち込み、サイトを訪問し、記事の先頭から欲しい情報を探していく。これが従来の検索です。一方でDeep Researchは、調査してほしい内容を伝えるだけで、AIが数十サイトを参照して情報を集めてくれます。しかも自動で、です。
メリット2: 少ない手間で最大限の成果
Deep Researchを使うときは、あまりプロンプトを意識しなくてよいのも便利な点です。
調査したい内容を伝えると、AIが意図を汲んで調査してくれます。もちろんプロンプトをしっかり書くこともできますが、簡単な指示でもAIがきちんと調査してくれるのは、地味にうれしいポイントです。
Deep Researchの使い分けと注意点
では、すべての検索がDeep Researchに置き換わるかというと、そうではありません。
Deep Researchは深く調査したいときに使うべきで、簡単な調べ物にはオーバースペックです。たとえば「子供の日っていつ?」のような調べ物に、複数サイトを参照する必要はありませんよね。簡単な調べ物は従来の検索、広範囲の情報を集めたいときはDeep Research、と使い分けるのがおすすめです。
もう一つ、ハルシネーションにも注意しましょう。ハルシネーションとは、AIが誤った回答を出してしまう現象のことです。Deep Researchは数十サイトを参照して回答を生成しますが、ハルシネーションのリスクがゼロというわけではありません。実際、私も何度も遭遇しています。
そのため、Deep Researchで生成したレポートをノーチェックで上司や取引先に提出するのはNGです。基本的には内部で扱う情報をメインにするのがおすすめです。
対策の一つとして、生成したレポートに対して推論モデルでファクトチェックをかけるアプローチもあります。たとえば次のようなプロンプトです。
トリプルクォーテーションで囲まれたテキストについてファクトチェックを行ってください。書かれている内容を1つずつ分析・精査し、事実に基づいているかをチェックします。それぞれの事実について、信頼性の高い情報ソースから裏付けを取得してください。
""" (ここにレポートのテキスト) """
これもハルシネーションがゼロになるわけではありませんが、あわせてチェックすることで効率化できます。
Deep Researchのユースケース
使い込んでいくと「なるほど、Deep Researchってこういう機能なのね」と使いどころがわかってきます。いくつか具体例を紹介します。
たとえば、自治体向けに生成AIの研修を提案したいとします。その提案資料の下書きをDeep Researchで作る、という使い方です。プロンプトはこんな感じです。
自治体へ生成AIの研修を提案したいです。自治体への導入事例を調査して、提案内容の下書きを作成して
すると、ChatGPTから次のような返答がありました。
了解しました。より具体的な提案にするため、次のことを教えていただけますか? ・研修対象者(職員全般、特定部署、管理職など) ・研修の目的(業務効率化、住民サービス向上、リスク管理など) ・研修スタイル(座学中心、実践ワークショップ形式、オンライン/対面など) ・特に興味のある自治体事例(先進的な事例、地方自治体、都市部など) ・ドラフトの長さや形式(提案書形式、パワポ用アウトライン、簡易文書など)
このように、いくつかの質問に答えると、ChatGPTが調査を開始します。
この質問は一手間かかって面倒に感じますが、ここで背景情報が充実するからこそ調査の精度が上がります。自分では気づいていなかった情報の漏れにも、このタイミングで気づけます。私もこのとき気づいて、プロンプトに「海外の自治体の事例も加えてください」と追記しました。
もう一つ、汎用的に使えるフォーマットとしておすすめなのが、特定領域の動向とプレイヤーを調べるパターンです。
AIの技術を活用したコードエディターの近年のトレンドと主要プレイヤーを調査して
「特定領域 + 近年のトレンド・主要プレイヤーを調査して」という型は、いろいろな領域に応用できます。
AI各社のディープリサーチ比較
最後に、Deep Researchを提供している主要なAIサービスを比較します。ここで挙げるのは、
- ChatGPT
- Gemini
- Grok
- Perplexity
の4つです。これらはすべて無料でディープリサーチを使えます。
結論を先に言うと、甲乙をつけるのが難しいというのが正直な感想です。同じプロンプトで調査を指示しても、微妙に回答が違うんですよね。
これは裏を返すと、横断的に使うこと自体が情報の検証になり、情報の幅を広げることにつながります。先ほどの自治体への研修提案の例でも、ChatGPTが挙げた自治体とは別の自治体をPerplexityが挙げてくれました。情報の層を厚くするという意味で、ディープリサーチの複数使いは面白いです。プロンプトをコピペして貼り付けるだけなので、手間もそれほどかかりません。
とはいえ、毎回複数のAIを開くのは大変なので、あえて1つに絞るなら私はChatGPTを選びます。
理由は、この4つの中でChatGPTだけが、調査の前に質問を挟んでくるからです。先ほどの提案資料の例のように、一度質問が入ることで、その後の調査の掘り下げ方がぐっと良くなります。この一手間があるおかげで成果物の質が上がるので、あえて1つを選ぶなら現時点ではChatGPTのDeep Researchをおすすめします。
余談ですが、GrokはX(旧Twitter)との関連が強いので、リアルタイムの情報やトレンドを調査したい場合に向いています。Grokは、イーロン・マスク氏が経営するxAIのモデルで、同氏はXも保有しているためです。
このように、各社のディープリサーチには微妙な違いと特色があります。無料で使えるので、いろいろ触ってみるのも面白いと思います。
まとめ
最後に、今回のポイントをまとめます。
- ChatGPTのDeep Researchが無料プランでも利用できるようになった。チャット画面のDeep Researchボタンから使える
- Deep Researchは数十サイトをAIが思考を重ねて調査するAIエージェント。簡単な調べ物ではなく、広い範囲を調査するのに向いている
- AI各社がディープリサーチを出しているが、正直甲乙つけがたい。複数社を使うと調査に厚みが出る。あえて1つ選ぶなら、個人的にはChatGPTのDeep Researchがおすすめ
調査タスクは多くの仕事に共通する作業です。Deep Researchをうまく使い分けると、その効率が一段と上がるので、ぜひ試してみてください。