こんにちは、AIニュースアプリ Morning AI 開発者の矢野哲平です。この記事では、生成AIの情報に触れていると必ず出てくる頻出キーワードを、まとめてチェックしていきます。
AIのニュースは日々目にしますが、「トークン」「コンテキストウィンドウ」「RAG」など、知らない単語がよく出てくるという経験も多いと思います。この記事では、そういった聞き慣れないキーワードをざっくり押さえて、生成AIに関する知識を一気にアップデートしていきます。意味をなんとなく理解しておくだけでも、AI関連の情報のキャッチアップがぐっと楽になります。
今回取り上げるのは次の9つです。
- ハルシネーション
- AIモデル
- プロンプト
- コンテキスト
- AIエージェント
- AGI
- ローカルLLM
- BtoA
- 埋め込み(Embedding)
1. ハルシネーション
ハルシネーションとは、AIが誤った回答をしてしまう現象のことです。簡単に言えば、AIは嘘をつくこともある、ということです。
たとえば、実在しない論文のタイトルを挙げてきたり、存在しない製品を説明したり。以前に比べれば明らかなハルシネーションは減ってきましたが、依然として起こります。ですから、AIの回答をそのまま鵜呑みにしないこと、重要な情報は必ず一次情報を確認することが大切です。
2. AIモデル
ニュースで「OpenAIが新しいAIモデルを発表」「Googleが新しいAIモデルをリリース」という言葉をよく耳にすると思います。
このAIモデルとは、簡単に言えば「AIの頭脳」にあたる部分です。OpenAIやGoogle、Anthropicといった各社が、膨大なデータを学習させて作り上げたものです。
たとえばChatGPTは、私たちが普段使っているサービスの名前ですが、その裏側ではGPT-5のようなAIモデルが動いています。同じようにGeminiの裏側ではGemini 3、Claudeの裏側ではClaude 4.7といったモデルが動いている、というイメージです。単に「モデル」と呼ばれることもあります。
3. プロンプト
プロンプトとは、AIに対する指示のことです。
私たちは普段、ChatGPTやGeminiのチャット欄に「メールの下書きを作成してください」といった指示を入力しますよね。これがプロンプトです。
AIからより良い回答を引き出すには、どうプロンプトを書くかが重要だと言われています。かつては「プロンプトエンジニアリング」という言葉があり、いかにプロンプトを設計するかが重視されていました。現在はその見方が少し変わってきましたが、AIへの指示であるプロンプトが重要であることに変わりはありません。プロンプトの具体的な書き方やテクニックは、プロンプトの書き方と回答精度を上げるテクニックで詳しく解説しています。
4. コンテキスト
コンテキストとは、日本語で「文脈」や「背景情報」を意味する言葉です。生成AIの世界では、AIに渡している情報全体、つまり「AIが参照している情報のひとかたまり」をコンテキストと呼びます。
たとえば「メールの下書きを作ってください」とだけ指示するよりも、
- メール送信者の情報
- メールを受信する相手との関係性
- 相手に伝えたいこと、その後にしてほしいアクション
こうした情報をコンテキスト、つまり背景情報として指示に含めると、回答の精度が上がります。
関連して知っておきたいのが「コンテキストウィンドウ」です。これは、AIが一度に受け取って処理できる情報の量、いわばAIの短期記憶の容量のようなものです。最近のモデルでは、GeminiやClaudeは100万トークンを扱えるようになっています。
ちなみに、ここで出てきた「トークン」とは、AIが処理する言葉の塊のことです。たとえば「this is an apple」は13文字ですが、トークンでは4トークンとして処理される、といった具合です。
5. AIエージェント
AIエージェントとは、AIが自律的に思考してタスクを遂行する仕組みのことです。最近のAI業界でもっとも熱いキーワードの一つです。
通常のAIの使い方は、人間がチャットで質問してAIが回答するという、1対1のキャッチボールです。一方でAIエージェントは、人間の少ない指示からAIが自分で計画を立て、自律的にタスクを進めていきます。
たとえば「来週の出張の準備をしておいて」と指示するだけで、カレンダーをチェックし、航空券を検索し、ホテルの候補を出し、経費精算の下書きまで作る。人間が1から10まで指示しなくても、AIが自律的にこなしていく、そんなイメージです。
最近のAI各社のモデルは、このAIエージェントでの利用を見越したものにシフトしています。
6. AGI
AGIは Artificial General Intelligence の略で、頭文字を取ってAGI。日本語では「汎用人工知能」と訳されます。
言葉は固いですが、簡単に言えば「人間と同等、またはそれ以上の知能を持つAI」のことです。
今のAIは、文章生成、画像生成、翻訳、プログラミングなど、特定のタスクではかなり高い性能を発揮します。一方でAGIは、どんなタスクであっても人間と同じように、あるいは人間以上にこなせるAIを指します。会社の業務も、車の運転も、科学研究も、人間ができることは何でもできる、そんな万能な知能です。
ちなみに、OpenAIのCEOであるサム・アルトマンは、AGIの実現を大きな目標として掲げています。AGIがいつ実現するかについては、5年後という楽観的な意見から、数十年先、あるいは永遠に実現しないという意見まで、業界でも見方が大きく分かれています。AGIという言葉を耳にしたら、「人間と同等かそれ以上の知能を持つAI」とイメージしてください。
7. ローカルLLM
ローカルLLMを理解するには、まず「LLM」という部分から押さえましょう。
LLMは Large Language Model の略で、「大規模言語モデル」を意味します。その名の通り、大量のテキストデータを学習させた巨大な言語モデルのことです。インターネット上の文章や書籍、論文といった膨大なテキストを学習することで、AIは人間のように自然な文章を理解したり、質問に回答したり、プログラムを書いたりできるようになります。私たちが普段使うChatGPTやGeminiで動いているモデルも、このLLMの一種です。
その上で、ローカルLLMとは「手元のパソコン、つまりローカルな環境で動かせるAIモデル」のことです。
「いやいや、私は普段手元のパソコンでChatGPTを動かしていますよ」と思う人もいるかもしれません。ですが実は、ChatGPTはパソコンからOpenAIのサーバーにアクセスし、そこでAIを動かしています。だからインターネットが切れるとChatGPTは使えなくなります。
一方でローカルLLMは、手元のパソコンだけでAIを動かせます。つまり、インターネットに接続していなくても動作します。これには大きく2つのメリットがあります。
- コストがほぼかからない。動かし放題で、必要なのはパソコンの電気代ぐらい
- プライバシーの保護。外部にデータを送信しないので、機密情報や顧客情報を扱うタスクと相性が良い
企業がAIを導入するうえで最大のハードルになるのが、「入力した情報が学習されてしまう」「情報が流出する恐れがある」という懸念です。これは健全なリスク管理ですよね。こうしたときにおすすめなのがローカルLLMです。機密性の高い情報はローカルLLMで処理し、一般的な情報はChatGPTやGeminiで処理する。タスクに求められるセキュリティに応じてAIを使い分ける選択肢が生まれます。ローカルLLMの始め方はローカルLLMとは?で詳しく解説しています。
8. BtoA
BtoAは「ビジネス to エージェント」の略で、生成AI時代に登場した新しい概念です。企業が、人間ではなくAIエージェントを顧客として想定したビジネスモデルを指します。
正直なところ、BtoAのビジネスモデルを構築している企業は国内外でまだほとんどありません。ただ、情報を先取りする意味でも知っておきたいキーワードです。
もともとB2BやB2Cという言葉がありますよね。B2Bは企業が企業向けに、B2Cは企業が個人向けに商品やサービスを提供するものです。BtoAはこの延長線上で、企業がAIエージェントを対象に商品やサービスを提供する、新しいビジネスの形です。
たとえばエージェントコマース。AIエージェントが人間の代わりにオンラインショッピングをしてくれるというものです。「来月キャンプに行くから必要なものを揃えておいて」と指示するだけで、AIが過去の購買履歴を参照し、足りないものだけを買い足してくれる。そういう使い方ができるようになります。実際、マスターカードやビザのようなクレジットカード会社も、AIエージェントが安全に決済できる仕組み、いわば「AIが使えるクレジットカード」を開発しています。
これから企業がビジネスを展開するときには、従来のように人間を顧客と捉えるだけでなく、AIエージェントを顧客としたビジネスも考える必要が出てくるかもしれない。そういう視点として、BtoAを紹介しました。
9. 埋め込み(Embedding)
最後は埋め込み、英語で Embedding です。この単語自体、聞き慣れないですよね。
埋め込みとは、「文章や画像などの情報を、AIが理解できる数値のベクトルに変換すること」です。少し難しいので、シンプルに言うと「意味が近いものほど近くに配置される仕組み」だと思ってください。
仕組みよりも活用事例で理解する方がイメージしやすいと思います。たとえばAIは一般的な知識は備えていますが、特定の会社の社内規定のような情報は学習していないので回答できません。新人社員が「弊社の経費精算のルールは?」とAIに質問しても、答えられないわけです。
でも、社内規定を丸ごと埋め込み(エンベディング)しておくと、AIは経費精算について書かれた資料を見つけ出し、それをもとに回答できるようになります。つまり、AIがもともと知らない情報でも、参照して回答できるようになるのです。
埋め込みはアイデア次第でさまざまな応用ができます。たとえば画像も埋め込みできるので、スマートフォンに1000枚の写真があったとして、「キャンプに行ったときの写真」というキーワードから該当する写真を抽出する、といった使い方もできます。
まとめ
最後に、今回紹介した9つのキーワードをおさらいします。
- ハルシネーション:AIが事実と異なる内容をもっともらしく回答する現象
- AIモデル:AIの頭脳にあたる部分。GPT-5やGemini 3、Claude 4.7などが該当
- プロンプト:AIに対する指示
- コンテキスト:AIに渡す情報全体、文脈や背景情報
- AIエージェント:AIが自律的に思考してタスクを遂行する仕組み
- AGI:人間と同等、それ以上の知能を持つ汎用人工知能
- ローカルLLM:手元のパソコンで動かすAIモデル
- BtoA:企業がAIエージェントを顧客として想定するビジネスモデル
- 埋め込み:情報を数値化し、意味が近いものほど近くに配置される仕組み
全部を完璧に覚える必要はありません。耳にしたときに「ああ、あの話か」とぼんやり思い出せるくらいで十分です。このうちプロンプト、AIエージェント、ローカルLLM、埋め込みは特に重要なので、興味があれば関連記事も合わせてチェックしてみてください。