こんにちは、AIニュースアプリ Morning AI 開発者の矢野哲平です。この記事では「Google Workspace Flows」について触れます。
これは、Googleから少し前に公開された、自動化のワークフローをノーコードで実装できる機能です。名前が長いので、この記事では以降「Workspace Flows」と呼びます。
具体的には、次の3つのポイントを解説します。
- そもそもWorkspace Flowsとは何か
- Workspace Flowsでできること
- Makeやn8n、Zapierなど他のノーコード自動化ツールとの違い
先にお伝えしておくと、Workspace Flowsの機能は現時点でα版です。Google Workspaceの管理者がα版の利用を許可していないと、ユーザーは使うことができません。すぐに試せるものを中心に紹介するのがこの記事の趣旨なのですが、GoogleがAIの自動化ツールを出してきたのは押さえておきたいトピックですし、いずれ正式版が出てより多くの人が使えるようになるので、情報を先取りする意味で取り上げます。
Google Workspace Flowsとは?
まず言葉の整理から。Google Workspaceは、主に企業向けのツールです。Gmail、Googleドライブ、Google Meetなど、Googleが提供するさまざまなツールを組織向けに統合したもの、と言えばイメージしやすいでしょうか。これらは個人アカウントでも使えますが、それが組織向けにまとめられたものです。
このGoogle Workspaceに、新しくWorkspace Flowsが追加されました。
Workspace Flowsは、AI自動化のワークフローをノーコードで構築できるツールです。通常、AI自動化のワークフローはプログラムを書いて構築しますが、Workspace Flowsならコードを書かずに一連のワークフローを作れます。
構築の仕方は、大きく2つのパターンがあります。
1つは、ブロックをつなげるようにワークフローを構築するパターンです。「〇〇したら〇〇をする」という処理を簡単に実装できます。たとえば「メールを受信したら、その内容をGeminiに渡す」といった具合です。
もう1つは、AIとの対話で構築するパターンです。たとえば、
24時間以内の未読メールを、朝出社するまでに要約してGoogleチャットに通知してほしい。
こんな指示で、AIがワークフローを構築してくれます。実際に試してみましたが、結構こちらの要望に沿って実装してくれます。
Workspace Flowsでできること
Workspace Flowsでは、Google側が事前にテンプレートを用意してくれています。いくつか例を挙げると、
- 未読メールの要約を毎日取得して通知する
- 会議前に、会議の要約や概要を関係者に通知する
- Googleフォームで問い合わせのあった顧客の温度感をAIで判定し、スプレッドシートのステータスに追加する
このように、Googleのツールをベースにしたワークフローを簡単に構築できます。
Workspace Flowsの何が嬉しいかというと、Geminiを簡単に呼び出せる点です。通常、こうしたAI自動化のワークフローを構築するときは、GeminiのAPIを設定する必要があります。これはGeminiをプログラムから操作するための許可証のようなものです。でもWorkspace Flowsなら、そうした面倒な設定なしにGeminiを呼び出せます。
これは、APIに馴染みのない社員でも簡単にAI自動化のワークフローを構築できる、ということを意味します。企業がこうした仕組みを業務へ広げていく流れについては、AIエージェントの活用事例も参考になると思います。
Workspace Flowsでできないこと
では反対に、できないことはないのか、という話です。現時点でできないことも色々あります。
たとえば、外部ツールとの連携は、他の自動化ツールに比べて少ないです。現時点で接続できる外部ツールは、Asana、Jira、Mailchimp、Salesforceなど。決して数が多いわけではありません。
有名どころのDify、Make、n8nといったワークフローツールは、たくさんの外部サービスとの連携機能を備えています。SlackやTodoist、もちろんChatGPTやClaudeとの連携もできます。それに比べると、Workspace Flowsは外部ツールとの接続が現時点では弱いです。一応API経由の設定はできるので、やろうと思えば外部ツールの連携もできますが、既存の自動化ツールに比べると弱い、という状況です。
今後この外部連携が広がっていくとは思いますが、ものすごく広げるのか、大手のツールだけに絞るのか、今後の展開は読めません。どちらもありそうなんですよね。というのも、基本的に会社は外部ツールをそんなにポンポン追加できません。特に大きな会社ほど、勝手に外部ツールを使うことはできません。
実際、このポッドキャストで紹介したAIツールを「使ってみたいけれど会社で使えない」という話はよく聞きます。セキュリティの兼ね合いもあるので、これは至極当然のことです。そう考えると、Google Workspaceは外部ツールとの連携が少なくても、それほど問題にならなさそうですよね。
他の自動化ツールとの使い分け
Workspace Flowsが、Makeやn8n、Zapierに比べて劣っているのかというと、そうではないと思います。これは使い分けの問題です。
- 外部ツールと連携したワークフローを構築したい → Makeやn8nが選択肢
- Googleのツールを連携させたワークフローを構築したい → Workspace Flowsが選択肢
自分の業務でどういった自動化ワークフローを構築したいのかを起点に考えると、選定しやすいと思います。
実際に触ってみた感想
実際に触ってみた感想をお伝えすると、ワークフローの構築がかなり楽だと感じました。
AIに話しかけるように「こういうことをやりたい」と伝えると、その内容に沿ったワークフローを構築してくれます。この精度は高いと感じました。手動でワークフローを構築するときも、シンプルで分かりやすい設計だと思います。
Workspace Flowsはまだα版なので浸透していませんが、これが正式版としてリリースされて一般的になると、割と誰でも簡単に自動化のワークフローを構築できるようになる。そういうポテンシャルを秘めていると思いました。
日々の業務には「ここを自動化したら楽になるよね」というポイントが結構あります。そうした部分を誰でも構築できるようになれば、会社やチームでうまく使うことで、かなりの業務効率化に貢献できるかもしれません。Googleが今後、ノーコードの自動化ツールを本格的に展開していくのか、楽しみです。
まとめ
最後に、今回のポイントをまとめます。
- Googleから、ノーコードで自動化のワークフローを構築できるWorkspace Flowsが発表された
- Googleの各種ツールと連携したワークフローを構築できる。たとえば「未読メールの要約を毎日取得して通知する」といった自動化を、誰でも簡単に実装できる
- 既存の自動化ツールとの違いは、外部サービスとの連携の少なさ。ただし、Googleのツールとの連携は非常にスムーズで実装しやすい