Gemini Notebook(旧NotebookLM)で自分専用ポッドキャストを作る

矢野 哲平

目次

こんにちは、AIニュースアプリ Morning AI 開発者の矢野哲平です。この記事では、Googleの情報管理ツール「Gemini Notebook」(旧NotebookLM)の音声解説(Audio Overview)について触れます。以前は「音声概要」という名前で呼ばれていた機能です。

音声解説は、簡単に言うと、自分がアップロードしたソースからポッドキャスト風の音声を作れる機能です。論文をアップロードすればその論文に基づいたポッドキャストを、YouTube動画をアップロードすればその内容に基づいたポッドキャストを作成できます。つまり、自分専用のポッドキャストを作れるわけです。

この記事は、音声解説が日本語に対応した直後の2025年5月に書いたものを、2026年10月時点の情報に合わせて書き直しています。当時の名前はNotebookLMで、2026年7月にGemini Notebookへ名前が変わりました。

この記事で解説するポイントは主に次の3つです。

  1. 音声解説でどのような音声が作れるか
  2. 作り方と聴き方
  3. 音声解説のユースケースと、残っている課題

Gemini Notebookとは?

まずGemini Notebookについて軽く説明します。Gemini Notebookは、Googleが開発しているAI搭載の情報管理ツールです。

PDFやYouTubeなどのソースをアップロードでき、その内容を要約したり、ソースに基づいて質問したりできます。内部ではGeminiのモデルが使われていて、性能もシンプルに高いです。

世の中にはChatGPTやGeminiなど、いろいろな生成AIツールがあります。それらを1番手のツールだとすると、Gemini Notebookは2番手くらいにおすすめしたいツールです。

実際、企業の導入も進んでいます。たとえばワークマンも、NotebookLM(現Gemini Notebook)やGeminiの活用に期待を寄せていることを公表しています。Google Cloudのインタビュー記事から引用します。

特に NotebookLM は、ドキュメントの読み込みと対話を通じて、情報整理や組織内のナレッジ共有を効率化するポテンシャルがあると考えられています。例えば経営企画部では、会議の音声データを取り込み、NotebookLM で議事録の自動作成や必要な情報の発掘ができないか、倉庫部門では、業務マニュアルや関連資料を NotebookLM にインプットし、新人スタッフ、パートスタッフが業務中に不明な点を自己解決できる環境を構築しています。

このように、業務効率化の面でもおすすめのツールです。基本的な使い方はGemini Notebookの使い方と注意点、具体的な活用アイデアはGemini Notebookの活用アイデア6選で詳しく紹介しています。

音声解説のこれまで

音声解説は、2024年9月に英語版として登場しました。この記事を最初に書いた2025年5月には、2つのニュースがありました。ひとつは音声解説の日本語対応、もうひとつはスマホアプリの公開です。

2024年9月
英語版が登場
2025年4月
日本語に対応
2025年5月
スマホアプリ公開
2025年8月
80以上の言語へ
2025年9月
4つの形式を追加
2026年7月
現在の名前に改名
音声解説の歩み。英語だけの機能から、80以上の言語で形式も選べる機能になった

日本語への対応は2025年4月末で、50以上の言語に一気に広がりました。その後、2025年8月には80以上の言語に対応し、英語以外でも長く詳しい音声が作れるようになっています。

スマホアプリは、2025年5月19日(日本では20日)にiOS版とAndroid版が公開されました。私はGemini Notebookを外で使うことが多いので、待ち望んでいたアプリでした。

初めて日本語の音源を聞いたときは、「えーと」のような間も含めて、人間が会話しているような自然さに驚きました。

どのような音声が作れるか

いまの音声解説は、生成する前に形式を4つから選べます。

詳細
標準
2人のホストが会話
じっくり掘り下げる
概要
短く
1人で2分以内
要点だけつかむ
批評
講評
専門家の目線で評価
改善点を挙げる
議論
討論
2人が別の立場で話す
論点が見えやすい
音声解説の4つの形式。迷ったら標準の「詳細」

標準の「詳細」は、2人のホストがソースの内容について会話しながら掘り下げていく形式です。ポッドキャストらしい音声を聴きたいならこれを選べば間違いありません。手早く要点だけつかみたいときは、1人のホストが2分以内で話す「概要」が便利です。

形式に加えて、長さ(短め・標準・長め)や出力する言語も選べます。ただし、長さの指定は今のところ英語だけです。さらに「初心者向けに説明して」「この章に絞って話して」のように、聞きたいことを指示として書き添えることもできます。

作り方と聴き方

音源を作るのは非常に簡単です。

1
ソースを追加する
論文・YouTube・ニュース記事など
2
形式と長さを選ぶ
聞きたいことを指示で添えられる
3
生成する
完成まで少し待つ
4
アプリやWebで聴く
バックグラウンドでも再生できる
音声解説を作って聴くまで

細かいプロンプトを書かなくても、AIがソースをいろいろな視点から会話してくれるのが便利な点です。

作った音声は、Webでもアプリでもそのまま再生できます。アプリはバックグラウンド再生やオフライン再生にも対応しているので、移動中に聴くのにも向いています。この記事を最初に書いた時点では「作った音源をダウンロードして、何で再生するか」が課題でしたが、アプリの公開でこの点は解消されました。

ほかにも、音声解説を公開リンクで共有したり(個人アカウントのみ)、Google Playブックスの本をソースにして音声を作ったりもできるようになっています(Gemini Notebookが電子書籍に対応)。音声だけでなく、ソースから動画を作る「動画解説」も登場しています。音声解説を含む9つの変換フォーマットは Gemini NotebookのStudio機能とは? で紹介しています。

音声解説のユースケース

使い方次第で、いろいろなことができます。特に、日頃からポッドキャストのように耳で情報をインプットする人に向いていると思います。

たとえば、論文をアップロードして、その論文に基づくポッドキャストを作って理解を深める。私自身は、海外のYouTube動画をアップロードして音声化し、情報のキャッチアップに使っています。ほかにも、出かける前に複数のニュースを渡しておいて、自分だけのニュースポッドキャストを作る、といった使い方もできます。

形式を使い分けると、使い道はさらに広がります。自分の書いた企画書を「批評」にかければ、改善点を音声で指摘してもらえますし、賛否が分かれるテーマの資料を「議論」にかければ、両方の立場の論点を一度に聞けます。

残っている課題

便利になった一方で、まだ足りないと感じる点もあります。

いちばんは、新しい音声が自動で届く仕組みが無いことです。ポッドキャストは番組登録しておけば、新しいエピソードが自動で配信されますよね。音声解説は、ソースを追加して生成ボタンを押すところまで、毎回自分で操作する必要があります。2026年10月時点でも、決まったソースから定期的に音声を作って届けてくれるような公式の機能は見当たりません。

また、AIのホストの会話に割り込んで質問できる「インタラクティブモード」は、今のところ英語でしか使えません。日本語でも使えるようになれば、ラジオを聴きながら質問できるような、新しい学び方ができそうです。

ポッドキャスターから見た音声解説

私自身ポッドキャストを配信しているので、この機能の登場が配信者にどう影響するかも少し考えてみます。

正直、初めて音源を聞いたときは「予想以上に精度が高いな」と思いました。Googleは他言語への展開があまり早くない印象だったので、日本語対応はまだ先か、なんなら英語版のまま実装されない可能性もあると思っていました。それがいきなり実装されてきて、少し驚きました。

いよいよAI音声の真打が登場してきた、という印象です。すべての番組がAI音声に変わることはないと思いますが、今後はAI音声を使った番組が増えていくと予想します。特にニュース系、英語系、そしてうちのようなナレッジ系の番組は、領域として重なってきそうです。

実は私も過去にAIポッドキャスト番組を作ったことがあります。英語系の番組でしたが、結果としてはあまり跳ねず、エンゲージメントは低めでした。他のAIポッドキャスト番組を見てもランキングが落ちていく傾向があり、AIで簡単に作れる一方で、リスナーがそこまで求めていない側面もあるのかな、という印象です。

自分専用の音声教材として

AIポッドキャストが人間のポッドキャストのシェアを奪うかどうかはいったん置いておくとして、自分のソースから簡単にポッドキャストを作れること自体は、面白い体験だと思います。

個人が、自分がインプットしたい情報を音源化して、自分だけで楽しむ。たとえば勉強のときにノートを作るのと同じ感覚で、自分専用のポッドキャストを作って学習する、というイメージです。英語の学習動画からポッドキャストを作って、自分専用のオーディオ教材にする、といった使い方もできます。

音声解説が広く認知され、多くの人が使うようになれば、耳で情報をインプットする習慣が根付くかもしれません。結果として、ポッドキャスト人口が増えていく可能性もあります。オトナルと朝日新聞社の調査によると、日本で月に1回以上ポッドキャストを聴く人は、15〜69歳の18.2%(2025年12月の調査)。2020年の14.2%から少しずつ増えてはいますが、まだまだ伸びしろがあります。

作業自体は簡単なので、興味のある方はぜひ試してみてください。

まとめ

最後に、今回のポイントをまとめます。

  1. 音声解説では、アップロードしたソースに基づいてポッドキャスト風の音声を作れる。日本語を含む80以上の言語に対応している
  2. 形式は詳細・概要・批評・議論の4つ。作った音声はアプリでバックグラウンド再生もできる
  3. 新しい音声が自動で届く仕組みはまだ無いが、音声解説を抜きにしても便利なツールなので、興味のある方はぜひ一度触ってみてほしい

耳が空いている時間は、意外と多いものです。Gemini Notebookの音声解説を使えば、その時間を自分専用のインプットに変えられます。

関連記事

  1. 7月28日に更新

    Gemini Notebook(旧NotebookLM)の活用アイデア6選

    GoogleのAI情報管理ツールGemini Notebook(旧NotebookLM)の活用アイデアを6つ紹介。音声概要での耳学習、社内マニュアル、利用規約のチェック、学習、面接ロールプレイ、議事録作成まで、私の実例と国内外の事例を交えて解説します。

  2. ローカルLLMとは?ChatGPTとの違いと使い方をわかりやすく解説

    手元のパソコンでAIを動かすローカルLLMの基礎を解説。ChatGPTとの違い、セキュリティとコスト面のメリット、Ollamaを使った始め方やOpenRouterでのモデル比較まで、初心者向けにまとめました。

  3. ChatGPTのDeep Researchが無料化、AI各社のディープリサーチを比較

    ChatGPTのDeep Researchが無料プランでも使えるようになりました。数十サイトを自動で調べる調査タスクのAIエージェントの仕組みと使いどころ、そしてGemini・Grok・Perplexityを含むAI各社のディープリサーチ機能の比較までまとめて解説します。

新着記事

  1. Claude Codeのultrathinkが変更

    Claude Codeのultrathinkが、2.1.311からそのターンのeffortを実際にxhighへ引き上げるようになりました。今の仕様、効く条件と虹色の表示、31,999トークンの時代からの変遷、よくある誤解、/effortとの使い分けを解説します。

  2. Grok Botの活用アイデアまとめ

    AIエージェント「Grok Bot」の活用アイデアまとめ。公式が紹介する営業・採用・サポートなどのビジネス向けと、Cursorと組み合わせるエンジニア向けの使い方に加え、筆者が実際にやっているX連携・ダイエットの記録・勉強・他社のAIエージェントとの連携などを紹介します。

  3. Grok Botの始め方と使い方

    AIエージェント「Grok Bot」の始め方と使い方を実体験から解説。料金と使えるプラン、Xと連携した情報収集やAIポッドキャストなどおすすめの使い方、記憶の整理でミスを減らすコツ、買い物の自動化がまだ難しい理由までまとめます。

  4. Claude Duetとは?Anthropicのクラウド型AIエージェントと、各社の動きをまとめて解説

    Anthropicが発表した先回り型のAIエージェント「Claude Duet」の仕組み、承認の仕組み、誰がいつ使えるのかを整理します。あわせてGrok Bot・Muse・dots・Gemini agentと続くクラウド型AIエージェントの流れと、今試すならどれかを解説します。

  5. Gemini NotebookはGoogleドライブのどこまで参照する?フォルダとファイルの参照範囲を解説

    Gemini Notebook(旧NotebookLM)とGoogleドライブを連携した時、AIはどこまで情報を参照するのか。指定していないフォルダまで読まれることはあるのか、連携の単位から整理します。

  6. Gemini 4 ArgonはChatGPTやClaudeと比べてどうなのか?公式比較・外部評価・得意不得意を解説

    Googleの最上位モデルGemini 4 Argonを、ChatGPT(GPT-6 Astra)やClaude(Fable 5.1・Opus 5.5)と比較。Googleの公式比較、Artificial AnalysisやVals AIなど外部の評価、実際に使った感想から、Argonの得意なこと・不得意なことを整理します。

  7. Google AI Studioで作ったAndroidアプリを自分のスマホに入れられるように|開発者アカウント不要

    10月13日のGoogle Playの発表で、Google AI Studioで作ったAndroidアプリを自分のスマホにインストールして使えるようになりました。開発者アカウントは不要で、アプリは非公開。何が嬉しいのか、在庫チェックや日報など自分専用の業務アプリの例と、地域・年齢の注意点を解説します。

  8. SynthIDとは?TIMEの「Best Inventions 2026」に選ばれたGoogleの電子透かしをわかりやすく解説

    GoogleのSynthIDが、TIME誌の「Best Inventions 2026」に選ばれました。AIが作った画像・音声・動画・テキストに目に見えない電子透かしを入れる技術で、これまでに1,800億件以上に適用されています。何ができるのか、私たちユーザーにとって何が大事なのかを解説します。

  9. MetaのMuseとは?モデルのMuse Spark・Muse Wonderと、パーソナルAIアプリのMuseをわかりやすく解説

    Metaが今年から本格展開しているAI「Muse」を整理します。Museはモデルの名前でもあり、アプリの名前でもあります。Muse SparkとMuse Wonderの違い、アメリカでStore1位になったパーソナルAIアプリのMuse、日本で使えるのはどこまでか、中小企業での活用事例、キーマンのアレクサンダー・ワン氏まで解説します。

  10. Muse Spark・Claude Opus 5.5・GPT-6.1 Solを比較。一番安いMetaのモデルは、どこまで戦えるのか

    MetaのMuse Spark 1.3を、Claude Opus 5.5とGPT-6.1 Solと比べました。OpenCodeでランディングページを作らせた実験の結果と、Artificial Analysis・Design Arena・Vals AIの外部ベンチマークを整理します。API料金が一番安いMuse Sparkは、Webサイトやデザイン系のタスクで健闘していました。

AIニュースの最新情報を毎日チェック