こんにちは、AIニュースアプリ Morning AI 開発者の矢野哲平です。この記事では、GoogleのAI情報管理ツール「NotebookLM」の活用アイデアを6つ紹介します。

NotebookLMは、特定の業種に関わらず、アイデア次第でさまざまな場面に応用できるポテンシャルを秘めたツールです。いろいろな人にとって役立つので、今回は具体的な使い方を深掘りします。私自身の活用事例に加えて、国内外の事例も交えて紹介していきます。

NotebookLMとは?

軽くおさらいします。NotebookLMは、Googleが開発しているAI搭載の情報管理ツールです。ユーザーがアップロードしたソースに対して、要約やマインドマップを作成したり、最近ではポッドキャスト風の音源を作成したりできます。

アップロードしたソースを参考に回答してくれるので、専用の簡易チャットボットのようにも使えます。たとえば過去のポッドキャストの全音源をアップロードすれば、自分が過去に発言した内容について質問できる簡易チャットボットを作れる、というイメージです。

企業の活用事例も増えてきて、個人でも企業でも使える場面が広がっています。NotebookLM全般の概要や音声概要機能についてはNotebookLMで自分専用ポッドキャストを作るでも詳しく触れています。それでは、6つの活用アイデアを順番に見ていきましょう。

1. 音声概要で耳からインプットする(私の事例)

まずは私の最近の使い方です。NotebookLMの音声概要機能を、情報のインプットに活用しています。

音声概要は、自分がアップロードしたソースからポッドキャスト風の音源を作れる機能です。最近これが日本語に対応しました。YouTube・PDF・Webページなどをポッドキャスト化して、耳でインプットできるようにしています。

1日の中で、耳が空いている時間は意外と多いものです。お皿を洗っているとき、洗濯物を畳んでいるとき、移動中、散歩中。私はジョギングもするのですが、走っている間も耳は空いています。こうした耳の空き時間で情報をキャッチアップするアプローチは、なかなか面白いです。

音声概要を使うと、だいたい7分前後のポッドキャストができます。私はジョギングで家を出て帰ってくるまで40分ほどかかるので、その間に4本ほど聞けます。気になるものがあればメモを取り、後でNotebookLMを見返して掘り下げる、という使い方をしています。ポッドキャストを聞き慣れている人、耳でのインプットに慣れている人とは特に相性が良いと思います。

2. 社内マニュアル

次は、社内マニュアルとNotebookLMの組み合わせです。

Googleが公式に紹介していた、海外のあるカフェの事例があります。スタッフ向けのマニュアルをNotebookLMにアップロードし、スタッフ全員がそのノートにアクセスできるようにした、というものです。たとえば、新しいエスプレッソマシンの使い方を、マニュアルをもとにチャットですぐ聞ける、という使い方です。

国内ではワークマンが似た使い方をしています。倉庫部門の業務マニュアルや関連資料をNotebookLMにアップロードし、新人スタッフやパートスタッフが業務中の不明点を自己解決できる環境を構築しているそうです。

NotebookLMは共有できるので、社内の人材がアクセスできる状態に持っていける点もメリットです。

3. 利用規約のチェック

3つ目は、利用規約のチェックです。

社内で新しいツールやサービスの導入を検討するとき、規約を読み込むのは大変ですし、管理も手間です。そこで、利用規約のページやドキュメントをすべてNotebookLMに読み込ませ、そこから質問していきます。難解な規約も、NotebookLMを使ってわかりやすい状態に持っていけます。

基本的にソースをベースに回答してくれるので、その内容が利用規約のどこに書かれているか、という出典チェックも比較的簡単です。さらに、こんな使い方もできます。

この利用規約から、ユーザーにとって不利となり得る内容を列挙してください

このように、マイナスな要素を抽出することもできます。同じことはChatGPTやGeminiでもできますが、散らばった規約を1か所にまとめて管理するという点では、NotebookLMのほうがやりやすいと思います。これは利用規約に限らず、難解な文書全般に応用できるアプローチです。

4. 学習

4つ目は、NotebookLMを使った学習です。

NotebookLMは、アップロードしたソースに対して、1クリックで学習ガイドやよくある質問を作成できます。学習資料をアップロードして問題を作ってもらう、という使い方ができ、英語や資格の勉強などさまざまな場面で役立ちます。

さらに踏み込むと、学習資料からポッドキャスト風の音源を作り、それをベースに耳でインプットすることもできます。通学中や移動中を勉強のインプットに充て、その後にNotebookLMでQ&Aを作ってもらえば、インプットとアウトプットの両方をNotebookLM1つで完結できます。

学習者側だけでなく、問題を作る側も使えます。ソースをアップロードしてボタンを押すだけで、問題と回答を作ってくれます。教師やセミナー講師、社内研修の担当者にも役立ちます。もちろん、ハルシネーション(AIが誤った内容を出す現象)が起きていないかをチェックしたうえで、問題作成のサポートとして使うのが良いと思います。

5. 面接などのロールプレイング

5つ目は、面接のロールプレイングです。

NotebookLMに企業の情報を集約しておくと、就職・転職活動や営業先の情報を効率的に管理できます。企業の紹介ページ、役員の挨拶、決算報告書などを1か所にまとめる、というイメージです。

その発展系として、面接のロールプレイングに使えます。まず採用ページの情報をアップロードします。企業がどんな人材を求めているか、業務内容はどうか、といった情報です。次に、自分のエントリーシートや職務経歴書をアップロードします。そして、こう指示します。

アップロードした会社情報と職務経歴書を参考に、面接で質問される内容を想定してください

試しに、ある会社のエンジニア採用情報と履歴書のダミーデータを読み込ませてみると、こんな質問を返してくれました。

履歴書に、大学院で〇〇の研究に取り組まれたと記載がありますが、この研究から得られた知見や経験は、弊社の多様な事業領域や技術課題に対して、どのように活かせるとお考えですか?

このように、会社情報と履歴書を踏まえた質問を数多く考えてくれます。

ここで「個人の履歴書をアップロードして大丈夫なのか?」と心配になる方もいると思います。結論から言うと、NotebookLMにアップロードしたソースがAIの学習に使われることはありません。ただし、フィードバックを送信した場合に、トラブルシューティングのために人間のレビュアーが確認することはある、と明記されています。

ですので、どこまでの情報をアップロードするかは、個々人のリスク管理によります。たとえば、個人を特定できる情報(名前や住所など)はダミーデータに置き換えてアップロードする、といった工夫が考えられます。

NotebookLMには、無料プランのほかにプラスプランとエンタープライズプランがあり、上位プランではセキュリティやプライバシーが強化されています。社内でがっつり使いたい場合は、NotebookLMのエンタープライズ版も検討してみてください。

このロールプレイングは面接以外にも応用できます。たとえばBtoBの営業で、クライアント情報と売り込みたい製品情報を渡して、想定される質問をロールプレイする、といった使い方です。情報を一元管理し、チーム内で共有できる点もNotebookLMの強みです。

6. 議事録作成

最後は、会議の議事録作成です。

NotebookLMには音声ファイル(mp3)もアップロードできます。会議音声をアップロードすれば、要約を作成して従業員に共有できます。会議後に「どんな内容が話されたか」を、後から他の人がチャットボット経由で質問できるようになります。

さらに精度を上げるなら、会議音声を別のツールで話者分離してから渡すのがおすすめです。話者分離とは、発言者別に文字起こしすること。「田中さんが発言した内容」「鈴木さんが発言した内容」のように分けることです。話者分離した状態で渡せば、「〇〇さんはこの議題についてどう発言していましたか?」といった質問にも答えられるようになります。

補足すると、NotebookLMに音声をそのままアップロードした場合、話者分離はまだ実装されていません。なので、話者分離した文字起こしテキストを別途用意してアップロードするのが、現状一番簡単な方法です。

話者分離の文字起こしは、外部ツールを使うほかに、社内で内製する選択肢もあります。OpenAIにはWhisperという文字起こしに特化したモデルがあり、オープンソースで公開されています。自分のパソコンにインストールすれば、オフラインで文字起こしができます。Whisper単体には話者分離の機能はありませんが、Pythonのライブラリと組み合わせれば話者分離も実装できます。「Whisper 話者分離」で検索すると、実装方法を紹介した記事が見つかります。AIにコードを書かせれば、わりと簡単に実装できると思います。

Whisperは、文字起こしツールを出している会社の多くが内部で利用しているほど定番です。機密情報を含む会議音声を一切社外に出したくない場合、手元のパソコンだけで文字起こし環境を構築できるWhisperが活躍します。お金もかからず、社外へのデータ送信もありません。なお、こうした「手元のパソコンでAIを動かす」発想についてはローカルLLMとは?でも詳しく解説しています。

まとめ

最後に、今回紹介した6つの活用アイデアをまとめます。

  1. 音声概要でソースをポッドキャスト化し、耳でインプットする
  2. 社内マニュアルをアップロードし、スタッフが業務中の不明点を自己解決できる環境を作る
  3. 難解な利用規約を1か所にまとめ、理解のサポートに使う
  4. 学習資料をアップロードして問題やQ&Aを作り、音声化して耳で学習する
  5. 企業情報と履歴書を渡して、面接のロールプレイングを行う
  6. 会議音声をアップロードして議事録を作成し、社内で共有する

「自分はこんな使い方をしている」というアイデアがあれば、ぜひ共有してください。NotebookLMは使い方次第で可能性が大きく広がるツールなので、ヘビーユーザーの方も、まだ使っていない方も、改めて試してみてください。