こんにちは、AIニュースアプリ Morning AI 開発者の矢野哲平です。この記事では、Googleが提供するAIツールNotebookLMとは何か、その概要を解説します。
以前 生成AIの概要と最新トレンド では、ChatGPTやGeminiといった生成AIの基礎を扱いました。今回はそこから一歩進んで、いま多くの人が使い始めているNotebookLMを取り上げます。名前は聞いたことがあっても「結局どんなツールなの?」という方は多いはずです。この記事を読めば、その解像度がぐっと上がると思います。
この記事で解説するポイントは、主に次の3つです。
- そもそもNotebookLMとはどんなツールなのか
- なぜ私たちがNotebookLMをチェックすべきなのか
- NotebookLMを使うと何ができるのか
NotebookLMとは?Googleの「AI搭載の情報整理ツール」
NotebookLMは、Googleが開発しているAIツールです。内部では、普段私たちが使っているGeminiのAIモデルが動作しています。しかも無料で誰でも利用でき、導入のハードルが低いのも大きなメリットです。
ただ、「NotebookLMはこういうツールです」と一言で説明するのは、正直なところ難しいと感じています。というのも、NotebookLMでできることは多岐にわたるからです。
Googleの公式説明を引用すると、NotebookLMは「信頼できる情報に基づくリサーチと思考のパートナー」であり、最新のGeminiモデルで構築された「AIを活用したリサーチパートナー」だと説明されています。
とはいえ、この説明だけではまだピンとこないと思います。実際に使ってみると「なるほど、こういうツールか」と腑に落ちるのですが、言葉だけで「リサーチパートナーです」と言われても、イメージしづらいのが正直なところです。
そこで私は、NotebookLMを知らない人に説明するときは、**「AI搭載の情報整理ツール」**と表現しています。情報を整理することに長けたAIツール、というわけです。
最大の特徴 — アップロードした資料だけに基づいて答える
NotebookLMの最大の特徴は、ユーザーがアップロードしたファイルをもとにAIが回答してくれるという点です。
アップロードできるソースは多彩で、ドキュメントファイルやPDF、音声、さらにはYouTubeのURLやウェブサイトのリンクまで対応しています。こうしたファイルやソースを読み込ませると、AIはアップロードした資料だけに基づいて回答してくれます。
なぜ「資料だけ」に基づくと嬉しいのか
これの何が嬉しいのかというと、AIにつきものの「ハルシネーション問題」を避けやすくなるからです。ハルシネーションとは、AIが誤った回答を出してしまうことを指します。
通常のAIは、自身がもともと持っている知識や、インターネット上の情報にアクセスして回答を出します。これはこれで便利なのですが、特定のケースではかえって足枷になることがあります。
たとえば、「ネット上の一般的な知識ではなく、いま手元にあるこの100ページの会議資料をベースに壁打ちしたい」という場面です。こういうとき、アップロードした情報のみを参照して答えてくれるNotebookLMが活躍します。この「手元の資料に基づいて答える」という発想は、RAG(検索拡張生成)と埋め込みの考え方とも通じるものがあります。
誕生の背景
NotebookLMは、もともとGoogle Labで小さくスタートしたプロダクトでした。「ユーザーが資料をアップロードしてAIとやり取りする」というアイデアから着想され、最初の開発は2023年頃にスタート。ハルシネーションを大幅に減らすことを目的としていました。
ChatGPTが出始めた当時は、AIの誤った回答もまだ多かった時期です。そうした課題を解決するために生まれたNotebookLMは、2024年頃からユーザーが爆発的に増え、いまでは多くの人が利用するAIツールへと進化しています。
とにかく簡単 — アップするだけで要約とヒントが出る
ユーザーが増えているもう一つの要因が、とにかく簡単に使えるという点です。
たとえば、手元に会議資料や論文があり、それをAIで素早く要約して効率的にインプットしたいとします。ChatGPTやGemini、Claudeといった通常のAIチャットでこれをやろうとすると、まずファイルをアップロードし、「この資料を参照して、これこれこう要約してください」と指示(プロンプト)を書く必要があります。つまり、人間側でプロンプトを考える手間が発生します。
一方、NotebookLMは資料をアップロードするだけで、特に指示をしなくても自動で要約が生成され、さらに深掘りするためのヒントまで表示してくれます。
|
通常のAIチャット |
NotebookLM |
| 手順 |
ファイルをアップ+指示を入力 |
ファイルをアップするだけ |
| 要約 |
プロンプトを書いて依頼 |
自動で生成 |
| 深掘り |
自分で質問を考える |
ヒントが自動表示 |
実例 — 竹の集成材の資料を読み込ませてみた
具体例を挙げます。私は最近、竹の集成材に関する資料や論文をNotebookLMに読み込ませました。集成材とは、竹を細かく裁断して一つの板に仕上げたものです。ここに、国や大学が公開している製造技術の資料を読ませたところ、その中身だけを要約して、竹を集成材にする具体的な方法やアプローチを解説してくれました。
面白いのはその後です。要約に続けて、こんなヒントが自動で表示されました。
- 「竹の集成材の強度や耐久性は、既存の木材と比べてどうですか?」
- 「竹を加工する際の最適な温度や圧力の条件を教えてください」
ここで何が起きているかというと、AIが先回りして、ユーザーの疑問を言語化してくれているのです。私はまだこの資料すべてに目を通せておらず、自分でも気づいていない疑問が頭の中に眠っています。そうした疑問を、AIが資料に基づいて先回りで提示してくれる。「そうそう、それも知りたかった」という内容を、あとはクリックするだけで、NotebookLMが資料の中から答えを探して表示してくれます。
こうなると、NotebookLMは「情報整理ツール」であると同時に、**「インプットを最大化するツール」**とも言えます。普通に読むだけでは難しい資料や、大量の資料からのインプットを手助けしてくれるからです。しかも、読み込ませた竹の資料には英語のものも含まれていました。海外のレポートや論文も、言語の壁を越えてAIが整理してくれるのです。
情報をあらゆるフォーマットに変換できる
ここまでNotebookLMの特徴を2つ挙げました。1つ目が「アップロードした資料に基づいて回答してくれる」こと、2つ目が「利用が簡単で、アップするだけで精度の高い要約をしてくれる」こと。
そして、もう1つ大きな特徴があります。それが、ユーザーが提供した情報をあらゆるフォーマットに変換できるという点です。
たとえば、この記事の内容を音声ファイルとしてNotebookLMにアップロードしたとします。すると、まず内容が要約されます。それだけでなく、要約した内容をスライドや動画といった別のフォーマットに変換することもできるのです。
変換できるフォーマットは豊富です。
- ポッドキャストのような音声フォーマットに変換する(NotebookLMで自分専用ポッドキャストを作る で詳しく紹介しています)
- **フラッシュカード(暗記カード)**に変換する。大学で学んだ内容をアップすれば、暗記カードを作って学習ツールとして使える
- 会議音声をスライド資料に変換する。会議に参加できなかった人が、あとから理解しやすくなる
このように、ユーザーがアップロードしたファイルを、まったく別のフォーマットへ変換できるのがNotebookLMの強みです。どんなフォーマットに変換できるかは種類が多いので、また別の記事で詳しく掘り下げたいと思います。
企業での活用事例 — ワークマン
NotebookLMを一言で説明しづらいのは、裏を返せば「アイデア次第でいろいろな活用方法がある」という贅沢な悩みでもあります。そして、その活用は個人利用にとどまりません。仕事の現場や企業でも広がっています。
実際に企業での導入事例が増えており、有名なのが作業服などを販売するワークマンの事例です。ワークマンは比較的早い段階からNotebookLMを導入しており、主に2つの使い方が取り上げられています。
1つ目は、経営企画部での活用です。会議の音声データをNotebookLMに取り込み、そこから議事録を自動で作成しています。さらに、会議のあとに内容を検索する用途でも使われています。会議に関する資料や音声データを集約し、あとから誰でも閲覧できるナレッジベースを構築しているわけです。
2つ目は、倉庫での活用です。倉庫スタッフの業務マニュアルをNotebookLMに読み込ませておき、新人スタッフやパートのスタッフが業務中に感じた疑問を、上司に相談することなくNotebookLMに質問できる環境を整えています。質問すると、マニュアルに書かれた内容に沿って回答が返ってきます。
こうした使い方はいずれも、「ユーザーが提供した情報ソースの内容だけを参照して答える」「別のフォーマットに変換する」という、NotebookLMならではの特徴を活かしたものです。ほかの活用アイデアは NotebookLMの活用アイデア6選 にもまとめているので、あわせてご覧ください。
まとめ
今回はNotebookLMの概要を解説しました。ポイントを整理します。
- NotebookLMは、Googleが展開するAI搭載の情報整理ツール。内部でGeminiが動作し、無料で誰でも使える
- 最大の特徴は、ユーザーがアップロードしたファイルやソースだけに基づいてAIが回答すること。ハルシネーションを避けたい場面で強い
- アップした情報を、要約はもちろん別のフォーマット(音声・スライド・暗記カードなど)にも変換できる
まずは実際に触ってみると、イメージがぐっと湧くはずです。無料で始められるので、NotebookLMにお手元の資料をアップロードして、その便利さをぜひ体験してみてください。