こんにちは、AIニュースアプリ Morning AI 開発者の矢野哲平です。この記事では、デザインタスクが得意なAIはどのモデルなのかを取り上げます。
AIはいろいろなことができますが、ウェブサイトやスライドのデザインもお願いすることができます。そして「どのモデルに頼むのが正解なのか」を判断する材料として、デザイン性能に特化したベンチマークサイトが公開されています。
今回、比較をしてみようと思ったきっかけは、そのサイトのランキングでした。Design Arena というサイトで、Kimi K3というAIモデルがClaudeやChatGPTを抜いて1位に輝いていたのです。
個人的にはデザイン性能が良いAIといえばClaudeだと思っていたので、これはちょっと意外な結果でした。よくよく考えると、Kimiというモデルはあまり触ったことがありませんでしたし、最近はOpenAIのGPT 5.6、GoogleのGemini 3.7 Flashなど新しいモデルも次々に登場しています。
以前にデザイン性能を比較した記事を書いたときとは顔ぶれが変わっているので、改めてデザインとAIの文脈で比較してみることにしました。
この記事で解説するのは、次の3つです。
- AIのデザイン性能を測れる比較サイト「Design Arena」について
- Design Arenaのランキング。どのAIモデルがデザイン性能が高いのか
- 実際に6モデルを手元で試した、主観を交えた比較
Design Arenaとは
AIモデルの比較サイトには、いろいろな種類があります。
たとえばChatbot Arenaは、どのモデルが生成した回答なのかを隠した状態で、人間に良し悪しを判断してもらう、いわゆるブラインドテストの手法でAIを比較するサイトです。
あるいはArtificial Analysisは、新しく出たモデルに対して運営側がさまざまなベンチマークのテストを実施し、その比較結果を掲載しています。
このように、世の中にあるAIモデルをあらゆる角度から比較検証するサイトが存在します。そのうちの一つがDesign Arenaです。
名前から想像できるとおり、デザインのタスクにおいてどのAIモデルが優れているのかを比較するサイトです。
Webデザイン部門のランキング
直近のランキングを紹介すると、上位は次のような顔ぶれになっています。
| 順位 |
モデル |
提供元 |
| 1位 |
Kimi K3 |
Moonshot AI(中国) |
| 2位 |
GPT 5.6 Sol |
OpenAI |
| 3位 |
Claude Opus 5 |
Anthropic |
| 4位 |
GLM 5.3 |
Z.ai(中国) |
| 5位 |
Muse Spark 1.2 |
Meta |
| 6位 |
Gemini 3.7 Flash |
Google |
| 7位 |
Grok 4.6 |
xAI |
この結果を見て、意外に感じる方も多いのではないでしょうか。
以前はだいたいClaudeやChatGPTが上位を占めていました。それが現時点では、KimiやGLM 5.3のような中国のAIモデルが上位に食い込んでいます。なんならKimi K3という中国のスタートアップのモデルが1位に輝いている状況です。
なお5位に入っているMuse SparkはMetaのモデルで、こちらも比較的新しい顔ぶれです。
HTMLスライド部門では順位が変わる
ここまでのランキングはウェブのデザインに関するものですが、Design Arenaではスライドのデザイン性能を測るランキングも公開されています。
そしてスライドのランキングになると、少し内容が変わります。
| 順位 |
モデル |
| 1位 |
GPT 5.6 Sol |
| 2位 |
Claude Fable 5 |
| 3位 |
Kimi K3 |
その後にClaudeのOpusやSonnetがランクインして、続いてGrokという並びです。
ウェブデザインとは傾向が異なり、HTMLを使ったスライドのタスクになるとGPTやClaudeが強いようです。とはいえKimi K3も3位にランクインしているので、こちらでも引き続き強いという印象があります。
一旦まとめると、デザインタスクをAIにお願いするなら次のようになります。
- ウェブデザイン: Kimi K3 / GPT 5.6 Sol / Claude Opus
- HTMLスライド: GPT 5.6 Sol / Claude Fable 5 / Kimi K3
こう見てみると、デザインタスクをAIにお願いするのであれば、KimiとGPTとClaudeの3つにお願いすれば大きくハズレはないと言えると思います。
6モデルを実際に試してみた
ランキングだけではなく、実際に私も手元の環境で試してみました。試したのは次の6モデルです。
- GPT 5.6 Sol
- Opus 5
- Gemini 3.7 Flash
- Grok 4.6
- Kimi K3
- GLM 5.3 Flash
やり方はワンショットのプロンプト、つまり一度の指示でデザインを生成するタスクです。実務ではエージェント的な動作をさせて、生成と改善を繰り返していくフローが使われますが、ここでは実験ということで一発出しのプロンプトで比較しました。
各モデルで5回ほど出力させたのですが、どれも大きく変わらない、というのが正直な感想です。そのうえで感想を挙げると、次のようになりました。
| モデル |
感想 |
| Kimi K3 |
Design Arenaでトップを取るだけあって、デザインタスクはやはり良い |
| GPT 5.6 Sol |
結構、攻めたデザインを持ってくる |
| Gemini 3.7 Flash |
安定したデザインを出してくれる |
| Grok 4.6 |
6つの中ではあまり良い結果ではなく、あえて順位をつけるなら最下位 |
| GLM 5.3 Flash |
意外に健闘。ただし細かい部分には少しマイナスポイントがあった |
もちろん、どのモデルもパラメーターや大きさが同じというわけではないので、一概に比較することはできません。しかも一発出しのプロンプトなので、エージェント的な性能は除外しています。これだけの結果で決めるには情報が足りない部分は否めません。
とはいえ、一発出しのプロンプトにおいても、やはりKimiとGPTとClaudeのデザインが安定しているという印象でした。
Kimi Codeという選択肢
ちなみにKimiには、Kimi Codeというプロダクトもあります。Claude CodeのKimi版のようなものです。
普段のデザインタスクにClaude Codeを使っている方や、OpenAIのCodexを使っている方は、一度Kimi Codeを試してみるのも面白いかもしれません。
話題になったGLM 5.3 Flash
今回の比較に入れたGLM 5.3 Flashは、先週話題になっていたモデルです。
複数のAIモデルを使えるOpenRouterというプロダクトに、いきなり「OXα」という謎のモデルが登場して話題になりました。
あえてモデルの名前を隠して、OpenRouterやChatbot Arenaに謎のモデルとして登場させ、後から情報を公開する。これはAI各社がよく取る手法です。
そしてこのOXα、蓋を開けてみるとGLM 5.3 Flashというモデルでした。Claude Opus 4.8に迫るコーディング性能を持ちながら、オープンウェイトで公開されているモデルです。
そのうえ、使用コストがものすごく安いという特徴があります。ちなみにKimi K3についても、Claude Opus 4.8や5に比べて約4割ほどのコストで利用できます。
コストが安いモデルという選択肢
このように、ランニングコストが安いモデルでも十分に戦えるものが登場しています。これは実務で考えると、なかなか大きな話です。
たとえば、AIを使ったスライド作成ツールを開発するとします。社内向けのツールでもかまいません。
このとき、選択肢はいろいろあります。GPTを使うのか、Claudeを使うのか。もちろんデザイン精度を高めたいというのが大きな目的にはなりますが、実際には、やはりランニングコストも抑えたいという要望が出てきます。
こうしたときに、同程度の性能でありながらコストがかなり安いKimi K3やGLM 5.3も選択肢に入れることができる。この選択肢の幅は、社内でAIツールを開発するときや、一般に公開するツールを開発するときには見逃せないポイントです。
そしてツールを開発することがない方でも、AIを使ってウェブのスライドを作るようなタスクを普段から行っているのであれば、Kimi K3のようなモデルを試してみるのも面白いと思います。
AIっぽさは全モデル共通だった
全体的な比較を通して思ったのが、AIが作ったデザインにはやはりAI臭さがある、ということです。
いわゆるAIスロップと言われたりもしますが、「SNSのAIアカウントが共有していたデザインだな」「どこかで見たことがあるな」と感じるのは、全モデル共通でした。
そのため、AIっぽさを感じさせない良いデザインをAIで生成するには、指示する側の人間のスキルや経験が大きく左右するのだと思います。
たとえばGPT系のAIは、デザインの指示に忠実です。そのため指示の出し方によって、デザインの成果物が大きく変わるという特性があります。
こうしたこともあり、最終的には指示する人間側のスキルや経験に大きく依存する。この構造は以前からあまり変わっていないのだと思います。そしてこれは、デザインタスクに限らず他のタスク全般にも言えることです。
デザイン以外のランキングも見られる
Design Arenaは、ウェブデザインやスライドのランキング以外に、画像・ビデオ・オーディオのランキングも見ることができます。
たとえば画像でいうと、1位はGPT Image 2。ビデオ生成はGemini Omni 1.1 Flashで、こちらは最近公開されたGoogleのモデルです。4Kの出力にも対応しています。
デザイン以外のランキングも確認できるので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
まとめ
- Design ArenaというAIのデザインタスクを比較するサイトが便利です。どのAIがデザインタスクに優れているのかという情報をチェックできます。
- Design Arenaのランキング、そして実際に私が試した感想としては、Kimi・GPT・Claudeのデザイン性能が高いと感じました。
- 一方で、比較したモデル全般でAIっぽさも感じました。良いデザインの成果物を生み出すには、指示する人間側のスキルや経験に大きく依存します。そしてこれはデザイン以外のタスク全般でも言えることです。
コストが安く性能も十分なモデルが増えたことで、デザインタスクを頼む相手の選択肢は確実に広がっています。普段使っているモデル以外も、ぜひ一度試してみてください。