こんにちは、AIニュースアプリ Morning AI 開発者の矢野哲平です。この記事では、AIエージェントを具体的にどう使い、どこから始めればいいのかについて触れます。
AIエージェントとは何か、AIチャットと何が違うのかについては、先にAIエージェントとは?AIチャットとの4つの違いを読んでもらうと位置付けが分かりやすいと思います。AIが自律的に思考してタスクを遂行するもので、ゴールを与えると自分で計画を立て、外部のツールを使いながらタスクを進めてくれる存在です。
「なんとなく分かったけれど、じゃあどうやって使えばいいの?」という疑問を解消するのがこの記事の目的です。話すポイントは主に3つです。
- 具体的にAIエージェントをどう始めていくのか
- 導入が簡単で業務効率に貢献するおすすめのAIエージェントツール
- AIエージェントの具体的な使い方や活用事例
もっとも手軽に試せるAIエージェント、Deep Research
私たちにとってもっとも身近で、手軽に試せるAIエージェントがDeep Researchです。
これは、ChatGPTやGeminiのAIチャットの中で動作する調査系のAIエージェントです。普段使っているチャット画面にDeep Researchというモードが用意されているので、そこから手軽に使えます。
たとえば「国別のポッドキャストの利用者数を調査してください」と指示したとします。通常のAIチャットだと、基本的にはAIが学習している知識の範囲で回答が返ってきます。最新の情報やインターネット上の複数のソースを横断した調査となると、少し弱い部分があります。
ここでDeep Researchを使うと、AIが自律的に調査計画を立て、複数のウェブサイトにアクセスして情報を集め、最後にレポート形式でまとめてくれます。50、場合によっては100近くのソースにアクセスするので、人間が一つ一つ「次はこのサイトを見て」と指示する必要はありません。調査指示を与えるだけで、あとはAIが自分で進めてくれます。
嬉しいことに、Deep Researchは人間の指示以外の情報も盛り込んでくれるケースが多いです。回答を見て「確かにこれも調査内容に含めた方がよかったな」と気づかされることがよくあります。本来盛り込んだ方がよい内容を人間が見落としていても、AIエージェントが拾ってくれる。これが大きなメリットだと思います。調査系のタスクが多い人にはおすすめです。
ただし、Deep Researchはあくまで調査に特化したAIエージェントです。情報を集めてレポートにまとめるところまでは得意ですが、それ以外のタスクには対応できません。たとえば、上がってきたレポートをそのままスプレッドシートに反映したり、スライドに変換したりといった作業はできません。
ではどうするか。次のステップとして、別のAIエージェントを検討する必要が出てきます。
業務利用も視野に入れたAIエージェント、CodexとClaude Cowork
AIエージェント系のツールはいろいろありますが、選択肢を並べるよりも、現時点でのおすすめを紹介します。それがOpenAIのCodexとAnthropicのClaude Coworkです。
CodexとClaude Coworkを一言で言うと、デスクトップ型のAIエージェントです。パソコンにインストールして、AIエージェントを常駐させるツールというイメージです。
普段、私たちはChatGPTやGeminiをブラウザ上で使っています。これだとブラウザの中で完結するので、たとえばパソコンの中にあるWordファイルを直接編集する、といった使い方はできません。一度ファイルをアップロードして、AIに編集してもらって、成果物をダウンロードして、と人間が手を動かす必要があります。
一方でCodexやClaude Coworkのようなデスクトップ型のAIエージェントは、パソコンの中のファイルやフォルダに直接アクセスできます。フォルダの中の資料を読み込んで要約する、資料を整理する。こうしたことを人間が手を動かさなくても進めてくれます。これまでブラウザの中だけで完結していたAIとのやりとりが、パソコンの作業全体に広がるイメージです。
どちらを選ぶか
CodexとClaude Coworkは方向性やできることが似ているので、普段使っているAIから選んで問題ないと思います。ChatGPTを使っている人はCodex、Claudeを使っている人はClaude Cowork、という具合です。
どちらもアカウントと連携しているので、有料プランがそのまま反映されます。つまり、ChatGPTの有料プランに加入している人はCodexでもそのプランが反映され、より多く利用できます。すでにChatGPTの有料プランを使っているけれどCodexは触ったことがない、という方は、これを機会にぜひ試してみてください。
Codexの導入方法
Codexの導入はいたって簡単です。OpenAIの公式サイトからCodexのアプリをダウンロードするだけです。Mac版もWindows版もあります。ダウンロードしたらChatGPTのアカウントでログインするだけで開始できます。時間にしたら5分もかからないと思います。
セットアップが完了したら、まずは小さなタスクから試すのがおすすめです。手始めに、パソコンの中の特定ファイルを読み込んで要約させる。こうした小さなタスクから始めて、Codexの動きに慣れていくとよいと思います。最初からいきなり複雑なタスクを振るのではなく、簡単なタスクから始めるのがコツです。
Codexは初見でもそんなに操作に迷わないと思います。なぜなら、普段使っているChatGPTの画面とほぼ同じだからです。画面中央にチャットエリアがあり、左側のサイドバーに過去のチャット履歴がある。違う点としては、プロジェクトという概念です。プロジェクトという名前ですが、要は作業するフォルダを指定して、そのフォルダ上でAIを動作させるイメージです。たとえば経費フォルダを指定して、そこでAIと一緒に作業する、という感じです。
ひとつ細かいtipsとして、利用制限の節約についても触れておきます。Codexは無料でも使えますが利用制限があり、これはChatGPTに限らずGeminiもClaudeも、年々無料の枠が厳しくなっています。そのまま使うと割と早く無料枠を消費するのですが、使用するモデルを変更することで消費を抑えられます。たとえば最新モデルではなく、あえて少し古いモデルに変えると利用枠の消費を抑えられます。もちろん精度はトレードオフになりますが、まずは無料で試してみたい人は試してみてください。
Codexでできること — 非エンジニア向けの活用アイデア
Codexという名前を聞くと、エンジニア向けのツールというイメージを持つ方も多いと思います。たしかにもともとはプログラミングを支援するために作られたツールで、Codexという名前の通り、コードを書くためのツールという位置付けでした。
ただ、最近のCodexは進化していて、エンジニアでない方の業務にも活用できるように設計されています。OpenAI自身も、公式でエンジニア以外の職種向けの活用事例を発信しています。ここからは、その中から活用アイデアを2つ紹介します。
活用アイデア1: 朝の業務ブリーフィングの自動生成
1つ目は、朝の業務まとめです。朝、出社して仕事を始めるとき、すでにAIエージェントが今日やることをリストアップしてくれるイメージです。
カレンダーやメール、チャットと連携して、今日の予定や未読のメール、対応が必要なチャットをリストアップしてくれる。AIが業務のスタートをフォローしてくれるわけです。こうしたタスクは毎日やる作業ですが、それなりに時間を取られます。特に休み明けや出張から戻った日は、業務の状況を把握するだけでけっこう時間を取られたりします。ここをCodexに任せると、自分専用の朝の業務まとめを自動で作ってくれます。
OpenAI公式で紹介されているプロンプトは、こんな感じです。
平日の朝8時半に、私のカレンダー、過去24時間の未読チャット、過去24時間の未読メール、私のフォローアップリスト、最近のメモを参照して、今日の業務ブリーフィングを作ってください。優先事項、ミーティング準備、返信が必要なメッセージ、私が判断する必要のあること、参考までに知っておきたい情報、これらを整理してください。あと、業務終了の17時まで1時間ごとにチェックして、ミーティングの変更や新しいフォローアップがあれば教えてください。
おもしろいのは、朝の業務まとめだけで終わらない点です。プロンプトの後半「業務終了の17時まで1時間ごとにチェックして〜」の部分で、Codexが日中1時間おきに業務全体を監視し、対応が必要なものを通知してくれる、という使い方もできます。こうした使い方は、ブラウザ版のChatGPTでは実現が難しい部分です。
活用アイデア2: 複数ファイルを集計してダッシュボードを作る
2つ目は、スプレッドシートの集約です。複数のファイルに散らばっているデータを一つにまとめて分析したい、というケースですね。
たとえば、複数の店舗を管理する業務をしているとします。東京店、大阪店、名古屋店、それぞれの店舗から月別の売上データがCSVファイルで上がってくる。これを「店舗別・月別の売上を比較するレポートにまとめたい」「グラフ付きのダッシュボードを作りたい」と思ったとします。手作業でやろうとすると、ファイルを一つずつ開いて、データをコピーして、関数を組んで、グラフを作って、とかなり大変です。
Codexを使うと、OpenAI公式のプロンプト例ではこう指示します。
フォルダの中に店舗別・月別の売上CSVファイルが入っています。これらを全部読み込んで、一つに統合してください。店舗別と月別で売上を集計して、グラフ付きのダッシュボードを作成してください。
これでCodexがフォルダの中のファイルを順番に開き、データを統合し、ダッシュボードを組み立ててくれます。人間はファイルをどこかにアップロードしたり、一つずつ指定したりする必要もありません。フォルダだけ伝えれば、あとはCodexが中身を認識して処理を進めてくれます。
このように、Codexの利用はエンジニア以外にもじわじわ広がっています。ポイントは、これまでパソコン上で人間が手を動かしていた作業の一部を、デスクトップ型のAIエージェントに任せられるようになってきたという点です。スプレッドシートの集計、レポートの作成。こうした繰り返しの作業をAIエージェントに振っていくことで、業務効率化を実現できます。
さらにCodexにはプラグインという仕組みがあり、連携できるツールを追加できます。たとえばChromeブラウザをAIエージェントで操作させたり、SlackやNotionと連携させたり。外部ツールと連携させることで、AIエージェントとしての真価をより発揮してくれます。Codexに慣れてきたら、外部ツールと連携してどう業務効率化を図るか、という点に目を向けていくと、よりAI活用が進むと思います。
まとめ
最後に、今回のポイントをまとめます。
- AIエージェントを手軽に試したい場合は、まずDeep Researchから。ChatGPTやGeminiの画面の中でモードを切り替えるだけで使える
- よりAIエージェントを取り入れたい場合は、デスクトップ型がおすすめ。代表的なものがOpenAIのCodexとAnthropicのClaude Coworkで、今回はCodexの導入方法を紹介した
- CodexやClaude Coworkを使うとパソコン上のファイル操作を伴うタスクを実行でき、外部ツールと連携させることでできることの幅がさらに広がる
企業が実際にどうAIエージェントを業務に組み込んでいるかは、AIエージェントの活用事例で詳しく紹介しているので、あわせて読んでみてください。