こんにちは、AIニュースアプリ Morning AI 開発者の矢野哲平です。この記事では、直近で公開された2つの最上位モデル、OpenAIの「GPT-6 Astra」とAnthropicの「Claude Fable 5.1」について触れます。
OpenAI と Anthropic から、ほぼ同じタイミングで新しいモデルが発表されました。どちらも各社の最上位に位置するモデルで、APIの価格まで一致しているという珍しい組み合わせです。
この記事で解説するポイントは、主に次の3つです。
- OpenAIが公開したGPT-6 Astraについて
- Anthropicが公開したClaude Fable 5.1について
- 2つのモデルの比較と、使いどころ
GPT-6 Astraとは
まずはOpenAI側から見ていきます。新しく公開されたモデルの名前は「GPT-6 Astra」。Astra(アストラ)は、星のような意味合いを持つ単語です。
モデル名は天体からとられている
最近のOpenAIは、モデルに天体に関する名前を付けています。小さい順に並べると次のようになります。
| 名前 |
意味 |
位置づけ |
| Luna(ルナ) |
月 |
いちばん小さいモデル |
| Terra(テラ) |
地球 |
その次 |
| Sol(ソル) |
太陽 |
GPT-5.6 Sol など |
| Astra(アストラ) |
星 |
今回の新しい最上位モデル |
名前の付け方に法則があると、どのモデルが上位なのかを覚えやすくなります。
0.1刻みから、一気に6へ
ここ最近のOpenAIは、5.5、5.6のように0.1単位でバージョンを刻むことが多くありました。GPT-5.6 もその流れの中で公開されたモデルです。
それが今回は、5.6から一気に6へと上がりました。OpenAIはGPT-6 Astraを「世界で最も知的なモデル」と位置づけていて、コンピューター操作やエージェントのようなタスクで性能を発揮するモデルだと紹介しています。
使えるのはどのプランか
現時点でGPT-6 Astraを利用できるのは、ChatGPT Proに加入している人です。Proは月額100ドルからの契約になるので、今のレートだと1万5,000円ほど。個人で契約するには、なかなか勇気のいる金額です。
月額20ドルのPlusプランでも、段階的に利用が開放されているようです。
もう少し気軽に試したいのであれば、API 経由という選択肢もあります。従量課金なので、使った分だけの支払いで済みます。「ちょっと触ってみたい」という目的なら、こちらのほうが始めやすいと思います。
Claude Fable 5.1とは
続いてAnthropic側です。こちらも最近公開されたモデルで、名前は「Claude Fable 5.1」。以前に Fable 5のレビュー でも取り上げたモデルの、バージョンアップ版にあたります。
Anthropicは詩と歌から名前をとる
OpenAIが天体なら、Anthropicは詩や歌をテーマにした名前付けをしています。
| 名前 |
意味 |
位置づけ |
| Haiku(俳句) |
日本の俳句そのまま |
いちばん小さいモデル |
| Sonnet(ソネット) |
14行からなる詩など |
中位モデル |
| Opus(オーパス) |
ラテン語で「作品」 |
上位モデル |
| Fable(フェイブル) |
ラテン語で「物語」 |
最上位モデル |
その最上位であるClaude Fableのバージョンが、5から5.1にアップデートされたというのが今回の話です。
Fableのさらに上にある、非公開のモデル
少しややこしいのですが、実はFableよりもさらに上に「Mutus(ミュトス)」というモデルが存在します。古代ギリシャ語で神話のような意味合いを持つ名前です。
ただし、Mutusは一般ユーザーには公開されていません。Anthropicの説明を引用すると、Claude Fable 5.1とClaude Mutus 5.1は同じ重みであって、違うのはセーフガードの厳しさだけ、とのことです。
つまり、私たちがAnthropicで使える最上位モデルが、実質的にClaude Fable 5.1ということになります。
2つのモデルを比較する
GPT-6 AstraとClaude Fable 5.1は、それぞれOpenAIとAnthropicの同じような場所に位置するモデルです。では、どちらが優れているのでしょうか。
価格もコンテキストウィンドウも、ほぼ同じ
面白いことに、APIで使った場合の価格は完全に一致しています。
| 項目 |
GPT-6 Astra |
Claude Fable 5.1 |
| 入力(100万トークンあたり) |
10ドル |
10ドル |
| 出力(100万トークンあたり) |
50ドル |
50ドル |
| コンテキストウィンドウ |
ほぼ100万トークン |
ほぼ100万トークン |
ここまで揃うと、「価格が同じでも性能は全く違うのでは」と気になるところです。
ベンチマークサイトの評価
先に結論を言うと、性能に関してもあまり変わらない、というのが正直な感想です。
AIモデルの性能を比較するサイト Artificial Analysis では、Claude Fable 5.1とGPT-6 Astraのベンチマーク比較結果が掲載されています。こちらでは一応Claude Fable 5.1のほうが上と評価されているのですが、その差は僅差です。
もうひとつの比較サイトである Chatbot Arena でも同じような結果でした。やはりFableがやや上ですが、2つのモデルの差はそれほど大きくありません。
実際に触ってみた感想
私自身も両方を触ってみましたが、正直に言うと違いがわかりませんでした。
海外の掲示板でも情報を集めてみたところ、「Astraのほうがいい」という人もいれば、「やっぱりFableだ」という人もいます。海外のユーザーも、あまり大きな差は感じていないようです。
ベンチマークの結果も、掲示板の意見も、実際に試した結果も、大きくは変わらない。もちろん特定のタスク・特定のシーンでは明らかにどちらかが優れているケースはあると思いますが、全体的に見るとそこまでの差はない、という結論になりました。
過去にも Gemini・Claude・GPTを実タスクで比較 したことがありますが、上位モデル同士の比較では似た傾向が出やすいように感じます。
どこで使うと効果的なのか
差がないとはいえ、どちらのモデルも下のモデルに比べればかなり良い性能が出ていると各社は発表していますし、外部のベンチマークでもその結果は出ています。
つまり、既存のモデルでは対応が難しいタスクにこそ最上位モデルを使う、という考え方がしっくりきます。
簡単なタスクには使わない
誤字脱字の発見や翻訳のような簡単なタスクは、コストが高くなるだけなので最上位モデルを使わないほうがいいでしょう。下のモデルで十分にこなせます。
生きてくるのは、AIエージェント 的な使い方をする場面や、プログラミングをする場面です。
なお、「最上位モデルならアイデアの壁打ちで人間が思いつかないような解決策を出してくれるのでは」と期待してしまうのですが、私が試した範囲ではそこまでではありませんでした。どちらも結構似たような提案をしてきます。過度な期待は禁物です。
一方で、プログラミングやエージェント的な動き、ブラウザ操作といった領域では、精度がかなり高くなっています。
文書処理の精度も上がっている
意外だったのが、文章の業務タスクでの改善です。
クラウドストレージのプロダクトを展開する Box は、新しいモデルが出るたびに評価を発表しています。今回のAstraの評価で興味深かったのが、まさにこの文章の業務タスクでした。
ひとつ下のモデルであるGPT-5.6 Solとの比較で、あらゆる業界での文書処理タスクの精度が上がったと報告されています。端的に言えば、ハルシネーション(AIの誤り)が減ったということです。
たとえば法務関連の文書のタスクでは、スコアが69%から93%へ改善したと報告されています。それ以外でも、文書業務に関する精度は全体的に上がったとのことです。
そう考えると、複雑な文章の処理にも最上位モデルを当てるのは良いアプローチです。
- ひとつのファイルを処理するだけ → 普通のモデルでも十分
- 複数のファイルをまたいで分析し、情報を抽出する → AstraやFableの出番
後者のように、エージェント的に自律的な処理をしてもらうタスクほど、最上位モデルの価値が出てきます。
住宅の間取り図を作るデモ
もうひとつ、OpenAIの公式発表で面白かったのが、AIに住宅の間取り図や外観を作らせるという応用例です。
具体的には、Astraに作りたいものの雰囲気を伝え、3DCG制作ツールの Blender をAIエージェントで動かします。すると、間取り図・外観・内装の完成図を3Dで確認できるデモができあがります。さらにゲーム制作で使われるUnreal Engineを使って、そのデモの住宅の中を自由に移動できるようにする、という使い方も紹介されていました。
詳しくは OpenAIの公式ブログ記事 で紹介されています。
私自身は住宅関連のタスクでAIを使ったことがありませんが、たとえば次のような応用が考えられそうです。
- ユーザーが視覚的に家の内覧をできるデモを作る
- 店舗デザインで、内装の完成図をAIエージェントに作らせる
- プログラムと組み合わせて、お客様とスタッフの動線をシミュレーションする
すでに同じようなツールは存在するのかもしれませんが、いろいろできそうだと可能性を感じさせるデモでした。
どこから触るのがいいのか
普段、ChatGPTやClaudeはAIと一対一でチャットをする画面で触ることが多いと思います。
ですが、ChatGPT Work や Claude Cowork のように、チャットを超えてAIにエージェントとして振る舞ってもらい、タスクを遂行させる使い方もできます。
今回発表されたAstraやFableは、自律的に動作するAIエージェントのような動きでこそ真価を発揮します。試すのであれば、チャット画面ではなくChatGPT WorkやClaude Coworkから触ってみることをおすすめします。
普段からプログラミングをされている方であれば、OpenAIのCodexやAnthropicの Claude Code もおすすめです。この領域については AIコーディングエージェントの解説記事 でも詳しく触れています。
Googleの動きにも注目
今回はChatGPTとClaudeの新しいモデルを紹介しましたが、実はGoogleも新しく「Gemini 3.8 Flash」を公開しています。Gemini 3.7 Flash の後継にあたるモデルです。
そうなってくると、そろそろGoogleも最上位モデルのアップデートを発表してきそうな予感がします。上位モデルのGemini Proが3.1のバージョンで止まっているので、そろそろGemini 4あたりが出てきてもおかしくありません。
一応、2026年7月にGoogleはGemini 4の事前学習を開始したと公式に認めています。噂ベースにはなりますが、今年の11月か12月にリリースされるのではないか、という話もあります。
おまけ:画像生成はどちらが使いやすいか
モデルの話とは少し離れますが、画像生成についても触れておきます。
セミナー資料やスライドの作成にAIを使っている方から、こんな話を聞きました。テーマや構成の検討はどのAIを使ってもいいけれど、最後の資料やスライドはChatGPTの画像生成機能で「インフォグラフィック風に」と指定して出力したものが気に入っている、とのことです。項目や配置、配色、イラストなどを実に的確に生成してくれるそうです。
Geminiでも同様に生成できるものの、どこかAIチックなイメージが漂ってしまう。その点ChatGPTはスマートで分かりやすく、なおかつ見栄えのするインフォグラフィックを作ってくれる、という評価でした。
ちょうど私も、作っているアプリのアプリストアに載せるイラストをChatGPTとGeminiの両方で作らせたところ、同じようにChatGPTのほうがいいなと感じました。もちろん実写のような画像なのか図形なのかによって評価は変わってきますが、イラストやインフォグラフィックに関しては、現時点ではChatGPTのほうが使いやすいという印象です。
Gemini側の画像生成については nano-bananaの記事 でも試しています。デザインタスク全般の比較は Design Arenaのランキング記事 にまとめました。
まとめ
- OpenAIからGPT-6 Astra、ほぼ同じタイミングでAnthropicからClaude Fable 5.1が公開されました。APIの価格もコンテキストウィンドウもほぼ同じという、珍しく条件の揃った2つのモデルです。
- 外部のベンチマークサイトではClaude Fable 5.1の評価がやや高かったものの、その差はわずかでした。実際に触ってみても、大きな違いは感じられませんでした。
- これらのモデルはChatGPT WorkやClaude Coworkからも触ることができます。AIエージェントとして使うことで真価を発揮するので、エージェント的な環境で使うのがおすすめです。
誤字脱字の発見や翻訳のような簡単なタスクではコストが見合いません。複数ファイルをまたぐ分析や、自律的に進めてほしいタスクにこそ、最上位モデルを当ててみてください。