MetaのMuseとは?モデルのMuse Spark・Muse Wonderと、パーソナルAIアプリのMuseをわかりやすく解説

矢野 哲平

目次

こんにちは、AIニュースアプリ Morning AI 開発者の矢野哲平です。この記事では、Metaが今年から本格的に展開しているAI「Muse」について整理します。

Metaは、FacebookやInstagramを運営している会社です。CEOはマーク・ザッカーバーグ氏。AIの領域では、もともと「Llama」というオープンソースのAIモデルを開発していました。そのMetaが今年から本格展開しているAIがMuseです。

アメリカでは9月にMuseのアプリが公開され、Storeのランキングで1位になるなど話題になっています。さらに、この記事を書いている当日には、Metaとして最も高性能なモデル「Muse Wonder」も発表されました。今がちょうどMuseの情報を整理するのにいいタイミングだと思い、まとめてみます。

この記事で解説するポイントは、主に次の3つです。

  1. MetaのMuseとは何か。モデルのMuse Spark・Muse Wonderと、パーソナルAIアプリのMuse
  2. 日本で使えるのはどこまでか。そして、アメリカではどう使われているのか
  3. Museを作ったチームのキーマン、アレクサンダー・ワン氏

なお、Muse SparkをClaude Opus 5.5やGPT-6.1 Solと比べた話は、Muse Spark・Claude Opus 5.5・GPT-6.1 Solの比較記事 に分けてまとめています。

Museは、モデルの名前でもありアプリの名前でもある

最初に、ややこしいポイントを1つお伝えしておきます。Museという名前は、AIモデルの名前でもあり、アプリの名前でもあります。

ChatGPTで例えると分かりやすいと思います。ChatGPTの場合、アプリの名前は「ChatGPT」で、中で動いているモデルの名前は「GPT-6.1 Sol」のように、名前が似ています。

Metaの場合も似たような形で、アプリもモデルも同じMuseという名前です。モデルは「Muse Spark」「Muse Wonder」のような名前付けになっています。

ChatGPTの場合
アプリ
ChatGPT
中で動くモデル
GPT-6.1 Sol
Metaの場合
アプリ
Muse
中で動くモデル
Muse Spark軽くて速いMuse Wonder最上位
アプリも、中で動くモデルも Muse
アプリの窓にモデルのチップが入る。Metaは窓もチップも「Muse」

モデルのMuse:Muse SparkとMuse Wonder

まずはモデルの方から見ていきます。

Muse Spark。Llamaと違い、オープンなモデルではない

Museのモデルが最初に登場したのは、今年の4月です。「Muse Spark」というモデルが発表されました。これは、Metaの中にある「Meta Superintelligence Labs」という組織が作ったモデルです。登場当時の情報は Muse Sparkの紹介記事 にまとめています。

Metaのモデルというと、以前は「Llama」が有名でした。Llamaは誰でもダウンロードして使えるオープンなモデルとして知られていましたが、Muse Sparkはそうではありません。Metaのサービスの中や、APIを通して使う形になっています。ここはMetaとして大きな方針転換だったと言えると思います。

そこからMuse Sparkは少しずつバージョンアップを重ねて、9月の頭にはMuse Spark 1.3が出ました。AIエージェントとしての作業、そしてコーディングの性能が上がったと発表されています。

最近新しく出るモデルは、単発のタスクよりも、AIエージェント としてどう作業をこなせるかという点にフォーカスされていると思います。これはMetaだけではなく、OpenAIやGoogle、Anthropicも同じような流れです。

Muse Wonder。Metaで最も高性能なモデル

そして、この記事を書いている当日、Metaから新しいモデル「Muse Wonder」が発表されました。

Muse Wonderは、現時点におけるMetaとして最も高性能なモデルです。Muse Sparkが軽くて速いモデルだとすると、Muse Wonderはより大きくて、より賢いモデルという位置づけです。APIや、Metaのコーディング用AIエージェント「Muse Code」から使えます。

特徴としてMetaが強調しているのは、次の2つです。

特徴 内容
Active Memory 会話をまたいで、大事なことを覚えておいてくれる力
Active Focus 難しい目標を渡されたときに、別のやり方を試したりしながら、粘り強くやり切る力。重要な操作の前には、ユーザーに確認を取る

性能については、Metaの発表によると、AIエージェントとしての作業や記憶、コーディングの評価でトップクラスの結果が出たとしています。

パーソナルAIアプリのMuse

次に、アプリの方のMuseです。

アプリのMuseは、Metaが「パーソナルAIエージェント」として、9月の上旬にアメリカで公開したものです。パソコンのブラウザ、iPhoneやAndroidのアプリから使えます。

公開後すぐにStoreのランキングで1位になりました。ChatGPTを抜いての1位だったので、かなり話題になりました。

日本ではまだ使えない

ただ、残念なお知らせがあります。このアプリのMuseは、現時点では日本ではまだ使えません。アメリカを中心に展開されていて、日本から使おうとすると、現状は待機リストに登録する形になります。日本でいつ使えるようになるのか、Metaからの発表はまだありません。

ここで改めて整理します。

アメリカ
日本
モデル
モデル
モデルAPI経由
アプリ
アプリ
アプリ待機リスト
モデルはAPI経由で日本からも使えます。アプリはアメリカが中心で、日本では待機リストに登録する形です。
日本で使えるのはどこまでか。モデルは日本の枠に入り、アプリは入りきらずに戻される

とはいえ、先々は日本でも展開されると思います。

専用のクラウド上のコンピュータで働く

では、日本でMuseが使えるようになったら、どんなことができるのか。先行して情報を押さえておきます。

以前、OpenAI DevDay 2026の記事 で、OpenAIの「dots」を紹介しました。自分専用のクラウド上のコンピュータを持っていて、そこで働き続けるAIエージェントです。

Museも同じで、専用のクラウド上のコンピュータとブラウザを持っていて、そこで作業をします。「AIの仕事場が、手元のパソコンからクラウドに移っている」という流れは、Metaも同じと言えます。

アメリカでの活用事例

では、実際にアメリカではどのように使われているのか。事例を紹介します。

Metaは中小企業向けの「Muse for Small Business」というものを発表しています。これは、FacebookやInstagramのアカウント、会計ソフトや決済サービス、Slackなど、普段使っているツールとつないで、AIに仕事を手伝ってもらえるものです。

アメリカ商工会議所 のサイトでは、アリゾナ州の、男性向けのグルーミング用品(ひげのお手入れ用品など)を扱う会社の事例が紹介されています。

この会社では、8万7000件のお客様からのレビューをMuseに分析させて、自社の強みや弱みを分析するワークフローをMuseに作らせました。8万7000件のレビューを人間が分析するのは、かなり大変な作業です。

件のレビュー
Museワークフローを作って分析
自社の強みと弱み
強み弱み
人の手作業数か月Muse数分
8万7000件のレビューがMuseに流れ込み、強みと弱みの分析になって出てくる。人の手なら数か月、Museは数分

担当者の話によると、データサイエンティストを雇う予算はなかったそうです。手作業でやったら何か月もかかる分析を、Museは数分で終わらせた、と話しています。

ここで補足すると、こうしたことはMetaのMuseでないとできないのかというと、そういうわけではありません。すでに私たちがアクセスできる Claude Code や Claude Cowork、ChatGPT Work、Codex のように、AIエージェントを動かせる環境であれば、分析系のタスクや自動化処理のタスクは比較的簡単に実装できます。AIエージェントに仕事をどんどん任せる。この領域に、MetaのMuseも本格的に進出してきたというわけです。

キーマン:アレクサンダー・ワン氏

2026年になって、Metaは大きく変革しています。そのキーマンが、アレクサンダー・ワン氏です。Museを作ったチームのトップとして活躍しています。

アレクサンダー・ワン
アレクサンダー・ワン
Alexandr Wang
Meta CAIO(最高AI責任者)
出身Scale AIの共同創業者(19歳で創業)
経歴20代で、自分の力で億万長者に
2025年6月Scale AIのCEOを辞めて、Metaへ
現在Meta Superintelligence Labsを率いる
Metaに来て1年4か月で、最上位モデルまで
写真: Meta Platforms, Inc. / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
Museを作ったチームのトップ、アレクサンダー・ワン氏

どんな人物かというと、Scale AI という会社の共同創業者です。Scale AIは、AIを学習させるためのデータを用意する会社で、かなり有名な会社です。

ワン氏は、マサチューセッツ工科大学を中退して、19歳でScale AIを立ち上げました。そして20代の若さで、自分の力で億万長者になった人物としても知られています。

19歳
MIT中退、Scale AI創業
20代
自力で億万長者に
2025年6月
Metaへ移籍
2026年4月
Muse Spark公開
2026年9月
アプリがStore 1位
2026年10月
Muse Wonder発表
アレクサンダー・ワン氏の歩み。青い印が線をたどり、通った出来事が順に立ち上がる

報道では、Metaの出資額は日本円で2兆円を超える規模とされています。それだけの金額を出してでも、Metaは彼を迎え入れたかった、とも読み取れます。

Metaでの肩書は、CAIO(Chief AI Officer、最高AI責任者)です。先ほどお話ししたMeta Superintelligence Labsを率いています。Metaに来てから他社から研究者を次々に迎え入れてチームを作り、およそ1年4か月でここまで来ました。このスピードでOpenAIやAnthropicに追いつこうとしているところに、Metaの勢いを感じます。

Museはこれからどう進化していくのか

アプリのMuseは、MetaのAIグラス(メガネ型のデバイス)にも対応する予定と報じられています。

Metaという会社で捉えると、FacebookもInstagramも持っていて、AIグラスのようなプロダクトも出しています。現時点ではモデルとしての性能は、Claude Opus 5.5やGPT-6.1 Solの方が優れているように感じますが、モデル以外の部分で見ると、Metaが持つポテンシャルはかなり大きいと思います。

オープンウェイト版を出すような話も出ているそうです。そして、ビジネスとの相性もいい。マーケティングにFacebookやInstagramを使っている会社は多いので、そういったマーケティングをAIエージェントに任せる領域も相性が良さそうです。

Metaがこれからどう進化していくのか、引き続き注目したいと思います。最新の情報は MetaのAIの公式サイト で確認できます。

まとめ

  1. Museは、Meta社のAIモデルの名前でもあり、パーソナルAIアプリの名前でもあります。
  2. モデルは、軽くて速いMuse Sparkと、新しく公開された最上位のMuse Wonderが揃いました。モデルは日本でもAPI経由で使えますが、アプリのMuseは日本ではまだ使えません。
  3. アメリカでは、普段のツールとつないで仕事を任せる使い方が始まっています。8万7000件のレビュー分析を数分で終えた事例が、その一例です。

Muse SparkをほかのAIと比べた結果は、Muse Spark・Claude Opus 5.5・GPT-6.1 Solの比較記事 にまとめています。

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