こんにちは、AIニュースアプリ Morning AI 開発者の矢野哲平です。この記事では Gemini Notebook(旧NotebookLM)の「Studio(スタジオ)機能」について解説します。
Gemini Notebookは「資料をアップロードして、その資料についてAIに質問できるツール」として紹介されることが多いです。ただ、それだけだと機能の半分しか使えていません。画面のいちばん右にあるStudioを使うと、渡した資料をまったく別のフォーマットに変換できます。
基本的な使い方はGemini Notebookとは?や使い方と注意点に、日々の運用のコツは使いこなす6つのコツにまとめています。この記事はその続きとして、Studioに絞って掘り下げます。
Gemini NotebookのStudio機能とは
Gemini Notebookの画面は、大きく3つのエリアに分かれています。
| エリア |
役割 |
| 左(ソース) |
資料・URL・音声などをアップロードする |
| 中央(チャット) |
アップロードした資料をもとにAIと会話する |
| 右(Studio) |
集めた情報を別のフォーマットに変換する |
このうち左と中央だけで完結してしまう人が多いのですが、右のStudioこそがGemini Notebookの個性が出る部分です。
Studioがやっていることは一言で言えば、自分が渡したソースを、あらゆるフォーマットに変換することです。
Studioで何ができるのか
具体例で見たほうが早いと思うので、2つ挙げます。
例1: 会議の音声からスライドと動画を作る
会議の録音データをGemini Notebookにアップロードし、Studioでスライドや動画に変換します。
出席していなかった人にそのスライドや動画を渡せば、議事録を読んでもらうより短い時間で会議の中身をキャッチアップしてもらえます。
例2: 英語の論文を日本語のポッドキャストにする
海外のAI関連論文など、英語で書かれた資料は読むだけでも一苦労です。これをアップロードして、日本語のポッドキャストに変換します。
あとは移動中に聞くだけです。耳が空いている時間が、そのままインプットの時間に変わります。
このように、Studioは「渡した情報の形を変える」ための機能です。チャットだけでも十分に便利なツールなので使わないまま終わってしまいがちですが、Gemini Notebookを100%活用するなら見逃せない部分です。
変換できる9つのフォーマット
Studioでできることは年々増えています。最初はテキストのレポート作成くらいでしたが、現時点では9つのフォーマットに変換できます。
| # |
フォーマット |
どんなものか |
| 1 |
ポッドキャスト |
2人のAI音声による音声コンテンツ |
| 2 |
スライド資料 |
資料にもとづいたプレゼン用スライド |
| 3 |
動画の解説 |
スライド+AI音声の解説動画 |
| 4 |
マインドマップ |
情報を放射状の図で整理 |
| 5 |
レポート |
テキストベースの詳細なレポート |
| 6 |
フラッシュカード |
いわゆる暗記カード |
| 7 |
クイズ |
問題・選択肢・ヒントまで生成 |
| 8 |
インフォグラフィック |
情報を1枚の図にまとめる |
| 9 |
データテーブル |
資料から特定の情報を抽出して表に |
名前からイメージできるものもあれば、インフォグラフィックやデータテーブルのようにイメージしづらいものもあるので、ひとつずつ見ていきます。
音声・動画に変換する3つの機能
1. ポッドキャスト
普段聞いているポッドキャストと同じような音声コンテンツを作れます。具体的には、2人のAI音声が資料の内容について会話する形式です。
通勤の途中や家事をしている最中など、耳が空いている時間に勉強したり、仕事のプロジェクトを把握したりできます。この機能については自分専用ポッドキャストを作るで詳しく紹介しています。
2. スライド資料
アップロードした資料にもとづいたスライドを作成します。
AIを使ってスライドを作るのは、指示の出し方も体裁を整えるのも意外と手間がかかります。Gemini Notebookの場合はソースをアップロードして作成ボタンを押すだけなので、この手軽さは重宝します。AIでスライドを作る方法全般はAIでスライドを作る方法を比較検証でも扱っています。
3. 動画の解説
アップロードした資料から、YouTubeにあるような解説動画を作成します。イメージとしてはスライド資料とAI音声の合わせ技で、スライドが順にめくられ、それに合わせてAI音声が解説をつけてくれます。
情報を効率よくインプットするとき、目と耳の両方を使える動画は有利です。ただ、これを人力で作るとなると大変です。「この資料から音声付きの動画を作っておいて」と言われたら、構成を考え、スライドを作り、ナレーションを用意して……と、かなりの時間がかかります。
Gemini Notebookなら、ソースをアップロードして動画の解説ボタンを押すだけです。
たとえばプロジェクトの途中から参加した人や新人の方に対して、「まずはこの動画を見ておいてください」と渡す。そんな使い方ができます。
情報を整理・学習に使う5つの機能
4. マインドマップ
情報を放射状の図で表したものを作成します。
Gemini Notebookはいろいろな情報をどんどん投げ込めるのが便利な反面、中身は散らかりやすくなります。「最近このノートブック、情報が煩雑になってきたな」と感じたときにマインドマップのボタンを押すと、プロジェクト全体を俯瞰して見られます。
5. レポート
テキストベースのレポートを書いてくれる機能です。個人的には、使用頻度でトップを争うくらいよく使います。
Gemini Notebookはソースをアップロードすると要約を自動で生成してくれますが、レポートはその先です。要約よりもっと深く掘り下げた内容がほしいときに使います。
1つのノートブックにはソースをいくらでも詰め込めます。ファイルもURLも入れられるので、当然、中身は整理されていない状態です。それをAIが関連性のある情報同士でまとめ直してくれる。この「煩雑な情報を分かりやすい形にする」という働きが、いちばん活きるのがレポートだと思います。
Studioで何を使うか迷ったら、とりあえずレポートを試してみる。それだけでも十分に価値があります。
6. フラッシュカード
いわゆる暗記カードです。表側に質問があって、裏側に答えがある形式のものを作成してくれます。
ビジネスの場面で使う機会は少ないかもしれませんが、学生の方や資格試験を勉強している方には効きます。おすすめの使い方はこうです。
- 今まさに勉強しているノートを写真に撮り、ノートブックにまとめていく
- そこからフラッシュカードを作成してもらう
- Gemini Notebookの画面上でそのまま学習する
作成したカードはGemini Notebookの画面上で操作できます。わからないことがあればその場でAIに質問できるので、AI家庭教師のような環境を1つのノートブックの中に作れるイメージです。
カードは自分で編集もできます。「ここはこういう問題の出し方にしたい」といった調整も可能ですし、1周したあと2周目はシャッフルして解き直す、といった使い方もできます。AIを勉強に使う方法はAIは勉強に活用できるのか?でも掘り下げています。
7. クイズ
アップロードしたソースからクイズを作成します。ボタンを押すだけで、問題・回答の選択肢・問題のヒントまで一気に作ってくれます。
フラッシュカードと同じく仕事の現場で使う機会は限られますが、次のような方には有効です。
- 学生の方
- 資格試験を勉強している方
- 教育関係の方(先生など、問題を作る側)
- 社内で社員教育を担当している方
たとえば社内研修を任されている場合を考えてみます。研修用の資料を準備し、実施したあとには知識が定着しているか確認するテストも必要になる。この「テストを作る」という作業が、実は研修そのものより大変だったりします。問題を考え、選択肢を考え……と手間がかかるからです。
研修資料をアップロードしてクイズのボタンを押せば、AIが自動でクイズを作ってくれます。そのまま使ってもいいですし、「ここはこう聞いたほうがいい」と手を加えてもいい。AIの出力を下書きとして扱い、そこから磨いていくと効率的です。
8. インフォグラフィック
インフォグラフィックとは、いろいろな情報やデータを1枚のイラストにまとめて、視覚的に分かりやすく表現したものです。語源は information(情報)と graphics(図形・視覚表現)を組み合わせた造語です。
正直に言うと私自身はあまり使いませんが、こういう機能も用意されている、という点は知っておいて損はないと思います。
9. 資料から情報を抜き出す「データテーブル」
比較的あたらしく追加された機能で、使ったことがないという方も多いかもしれません。
Googleの説明では「ユーザーがアップロードしたソースからデータの表を生成する」となっていますが、これだと少し分かりにくいので噛み砕くと、アップロードした資料から、特定の情報を抽出する機能です。
たとえば、ある企業の資料をアップロードして、こう指示します。
この資料の中に登場する人物の氏名、肩書き、所属を全部抽出してください。
すると、資料に記載されている人物の情報がテーブル形式(表)で出力されます。その表はGoogleスプレッドシートとして書き出すこともできます。
これが意外と役に立ちます。理由は、整理されていない資料から指定した情報だけを抜き出し、表形式に揃えてくれるからです。
形が揃うということは、そのあとの処理がしやすくなるということでもあります。普段Excelやスプレッドシートを使っている方ほど、この恩恵は大きいはずです。
もう少し実務寄りの例を挙げます。上場企業の決算資料10年分をGemini Notebookに渡し、そこから売上・営業利益・配当金の推移だけを抽出してテーブル形式で出力する。こうした使い方もできます。
同じような抽出は、ChatGPTやGemini、Claudeのチャット画面でもできます。ただ、ハルシネーション(もっともらしい嘘)が少なく、かつ扱えるデータ量が多いという点は、Gemini Notebookの強みと言えます。
よく使うのはこの3つ
9つの機能を紹介しましたが、どれを使うかは業務によってさまざまです。それぞれの仕事に応じて、必要な機能を選ぶ形になると思います。
ちなみに私がよく使うのは次の3つです。
- ポッドキャスト — 資料を音声にして、耳の空き時間にインプットする
- レポート — 散らかった情報をテキストで整理する
- データテーブル — 資料から特定の情報を抽出する
まとめ
Gemini NotebookのStudio機能について解説しました。ポイントを整理します。
- Studio機能とは、アップロードしたソースを特定のフォーマットに変換する機能
- 動画、ポッドキャスト、スライド、データテーブルなど、現時点で9つのフォーマットに変換できる
- Gemini Notebookは、散らかっている情報やデータをAIの力で整理することに強みを発揮する
一番の近道は、実際にStudioのボタンを押して「こういうものが生成されるのか」を体験してみることです。ほかの活用アイデアはGemini Notebookの活用アイデア6選にもまとめているので、あわせて参考にしてみてください。